【FGO】嗚呼、日常。【3L】

御影尋.

(決して仮眠を取るにはうってつけとは言えない賑やかな場所で、ﾃｰﾌﾞﾙに突っ伏してる貴女を見るに見兼ねて近づく赤い影が1人。ﾌﾟﾘﾝをそばに置き人差し指でｺﾂｺﾂとﾃｰﾌﾞﾙを叩くことで、自分の存在を示せば『…失礼。君、こんな所で眠るのは感心しないな。体を痛めてしまう…休むのならちゃんと部屋で休むといい。』と過保護っぷりを発揮しつつ声を掛けたのは何を隠そう、ｷｯﾁﾝの守護者こと赤い弓兵で、)
　

>>アンリマユ

…部屋、は
（短い短い夢。それは、貴方も、自分も、知られたくなくて知ってはならなかった過去の夢。高い場所から人々が暮らす世界を見下ろす視界がグニャリと歪んで…ぱちりと気がつけば目の前に見慣れない大きな手と、プリンがあった。ゆっくりと身体を起こして、目の前の影を見上げる…いつもなら怒られるのではないかと不安に思うはずの姿にほっとした自分がいる。“今は、部屋に帰りたくない”、本音を飲み込むように「…起こしていただいて、ありがとうございます」、ふわりと微笑みすら浮かべて立ち上がり）

御影尋.

ふむ、
(曇った顔色を見れば簡単に良くない夢を見たのだろうと察しがつくというもの。とはいえ、話さないということはきっと“そういうこと”なのだろう。…ならば無理に夢の内容は聞くまい。少し思考を巡らせた後、食堂から出て行こうとする貴女に「…ああ、そういえば先日ハーブティーを作ってね。初めて作ったから口に合うかは分からないが、よければ飲んでみてくれないか？」と思い出したかのように味見役を頼んで、)
　

>>アンリマユ

…、ありがとうございます
（事情を悟ったかのような表情と、聞こえた声に隠し事は向いていないとしみじみ思う。と、聞こえた声にぱちぱちと目を瞬いて…きっと飼い犬はまだ飼い主の部屋で眠っていることだろうし。それに…私のように探し回ることもないだろうから。「いただきます、嬉しいです」と、ほんの少しだけ申し訳なさそうに…というよりは、後ろめたそうに無表情に戻ってはストンと椅子に力が抜けたように座って）

≫御影尋

マスターも同じ？思いが通じ合ってるなんてそれはとっても素敵で嬉しいわ！しかも沢山用意できるなんて！すごい！すごいわ！マスター！それにとっても頼もしいのね。
(繋いだ手が喜びに任せて大振りになりつつ早く早くと引っ張って。しかしいざ食堂につけばマスターの後ろに隠れるようにくっついてマスターの服の裾を握り、「ええ、女王のタルトには触れないわ。こう(ぎゅっと)しているから。そして例えタルト盗み食いの冤罪でハートのジャックにされてしまっても、マスターと一緒なら、平気よ」と、警戒はしながらも嬉しそうで。)

≫アンリマユ

あっ、ごめんなさい。でも大袈裟じゃないわ。決まりを守れない子供は大人になれないのよ？でも大人になったら決まりを破ってもいいなんて。やっぱりズルイわ。
(確かに大声だった。慌てて口元を本で隠して今更ながらに声を抑え。「あら、オオカミさんは物語の大事で大切なキャラクターよ？『赤ずきんちゃんはオオカミさんに会いませんでした』じゃ物語は消えちゃうもの。読者の誰もが嫌ったって、わたしには大事な素敵な悪役さんだわ。それで例えわたしが食べられてしまったとしても。そんな素敵な相手がいるのなら、どこだって立派で素敵な会場なのよ？」とは言いつつ何処に連れてってくれるのかを期待している目ではあって。)

御影尋.

それでは少し待っていてくれ。
(貴女の返答を聞けばお茶の支度をするため早速、食堂の裏方へ引っ込んで。戸棚に並んだ多数の食器の中から茶葉に合うﾃﾞｻﾞｲﾝのﾃｨｰｶｯﾌﾟとｿｰｻｰを迷いのない手つきで取り出し、手際よく淡い緑のお茶を注いでゆく。これで少しは気分も晴れればいいのだが…そんな願掛けをしながら貴女のところに戻ってきて。『君のお眼鏡に叶うといいんだが。』と何処か不敵な声と共に湯気を立てるｶｯﾌﾟを貴女の前に静かに置き、)


ﾅｰｻﾘｰ・ﾗｲﾑ.

てっきり狼は追い出されると思ったんだが…ﾋﾋｯ、小せえくせによく回る口だこと。
(主人公を誑かし、貶め悲しいﾊﾞｯﾄﾞｴﾝﾄﾞへと手招く悪役は幸福な終わりを望む少女にとって大敵かと勝手に思っていたが…なるほど。物語を彩る登場人物達は皆等しく大切な存在…とは、おとぎ話の化身らしい言葉だと深く納得。機嫌よさげに視線を玄関先へ持ってゆき「それじゃあ食い物と飲み物持って、ﾋﾟｸﾆｯｸするのはどうよ。周り雪しかねえけど案外綺麗だぜ？」と。本来無断の外出は厳禁とされてる為、ﾋﾟｸﾆｯｸ兼隠れんぼになりそうだと目を三日月形に歪め、)
　

>>ナーサリー

…おや、自分は貴女とトランプになれるのなら、喜んでタルトに手を掛けますよ
（ぶんぶんと振るように引かれる手に少し前のめりになりながらも歩を早め、ティーパーティーに急ぐアリスを引き止めることはせずに…とはいえ、食堂の前で自分の後ろに隠れた小さな影に意地悪に僅かに口角を上げ。小さくて可愛い貴女となら、地獄だって砂糖の塊みたいなものだから。後ろに隠れて出てくる気配のない子猫を引き摺り出すように、両手を貴女に伸ばしては食堂に踏み入る為に抱きあげようと）

>>アンリマユ
…貴方の出してくれたものが美味しくなかったことなんて無いですよ
（食堂内はいつだって騒がしくて、静かで二人分の声しか聞こえないあの部屋が何だか宙ぶらりんみたいで。知らない方が良かったはずのことを知ってしまうと、余計になんだか…と、目の前に置かれたのは澄んだ色のお茶。滲み出る自信作の気配に僅かに目を細めては、そっと口に含み…「ありがとうございます…おいしい、よく眠れそうです」、苦くもなく、酸味もない、ただ優しい味に力が抜けて、全部を忘れてしまおうと都合がいいことを思ったりして。暫く賑やかな周りの音をBGMにゆっくりと飲み下していたけれど…数分後には、うと、と目を数度瞬きして）

御影尋.

口に合ったようで何より…と、休むのはいいがここで寝るんじゃないぞ？
(ｶｯﾌﾟに口をつける貴女の顔色を伺うような眼差しを向けていたのも束の間。感想を言って貰えるとやはり作り甲斐があるもので、口元を微かに弛ませ。…と、暫くして眠気に耐えるように瞬きを繰り返す瞳に少し苦笑い。背後からはﾀﾏﾓｷｬｯﾄのﾍﾙﾌﾟの声が聞こえてきて一瞬厨房を見遣った後、貴女へ向き直り。肩を竦め『すまない、夕飯の仕込みが残ってるので私はこの辺で失礼させて貰うよ。今日はｶﾚｰだから君もたまには来るように。』なんて最後にﾁｸﾘと毒を刺し、ついでに空になったｶｯﾌﾟを持って足早に自身の持ち場へと戻ってゆき、)
　

>>アンリマユ

…、はい
（微睡んだ視界の中で、目の前の英霊が困ったように、優しく、多分穏やかに、持ち場に戻るのが分かる。食事は苦手で、まだ食べることが苦手だと白状できた相手はこの場にただ一人…食事を食べに来ない手のかかる見習いにもこんな風に話しかけてきてくれる英霊たち。そういえば、自分にも…もしかしたらこの人以上に心配性な飼い犬がいるのだった。眠気を払うように立ち上がって、早足に自室へ…扉を開け、そのまま可愛い犬が眠っているのであろう布団にダイブしようと軽く地面を蹴って）

御影尋.

ん゛ん゛ぅ……、
(──何やら腹部に鈍い衝撃を感じて眠っていた意識が急浮上する。人が気持ちよく寝てる時に誰だ…なんて、無理やり叩き起こされ多少ｲﾗｲﾗしながら布団を雑にめくる。すると霞む視界の中央、いつ間に戻ってきたのか自分に乗っかる飼い主の姿に気が抜けたと同時に、重い瞼が重力に従って下へと下がりながら、無意識のうちに片手は頭に伸び。「…重い…どけ。」と文句…貴女からしてみれば生意気な口を叩き、)
　

>>アンリマユ

…、
（貴方の瞼が持ち上がって、その向こうに瞳があって、声が聞こえて、伸びてきた指先には指が5本…あの夢とは、違うのだと分かるだけで充分だ。のそりと身体を起こすとのそのそと隣に潜り込んで許可も得ずに貴方に手を伸ばす。抱きしめて、存在証明をして、貴方が今ここに居ることを感じて、あの夢を…忘れることなんて、出来ないけれど。貴方が、前に自分が噛み付こうとした時に舌を掴むなと指摘した意味がはっきり分かった気がする…「好きです、アンリマユさん。好きですよ、大好きです、愛しています、」うわ言のように呟いては、目を瞑って）

御影尋.

───、
(距離感が狂ってるのはいつものこと。…だけど、何かを上書きするように、好きだと繰り返す貴女の切羽詰まったうわごとに“何かが、おかしい”と本能が警報を鳴らす。じくりと微かに疼く古傷…閉じた瞼を今一度開き貴女を見下ろして。ｻｰｳﾞｧﾝﾄとﾏｽﾀｰの間ではよくある現象だから、己の生前を見られたことは別に気にしない。強いて言うなら背負う必要のない記録を見せてしまったことは、本当に申し訳ないと思ってる。鼻先同士を擦り合わせながら「どこか痛いとこないか？」とそれだけを尋ね、)
　

>>アンリマユ

だい、じょうぶ
（触れた鼻先に薄く目を開ければ、こちらを見下ろす目。眠たいはずなのに、ほら、やっぱりこの飼い犬は優しい。掠れた声で返事をして、泣き出しそうになるのを堪えて…きっと理解してしまったのだろう、貴方は聡いから。「…好きです、大好きです、大切なんです。本当に、愛しているんです。」、夢の中で、貴方が見た景色も、耳にこびり付いて離れない叫び声も、最後には出すことすら許されなかった声も…今度は全部自分が拾い上げるから。堪えきれなかった涙が落ちる前に肩まで布団を引き上げて、顔を隠すように埋めては小さく丸まって）

≫アンリマユ

んー、一番悪いのは作者かしら？何であんな物語にするのかって怒ることはあってもお役に忠実な狼さんには別に、なの。もちろんバッドエンドは悲しいし、ハッピーエンドの方が楽しいとは思うわ！
(役目は大切、でもそうなるよう仕向けた作者は別。言いながら小さい青髪の作家を思い浮かべれば頬を膨らませ。しかしそれもピクニックの前では小さな怒りも忽ち吹き飛び瞳を輝かせて。「まあ！お外に出てもいいの？ええ！雪だけでも充分よ！きらきらの白銀の世界、雪だるまにかまくら、雪合戦…バスケットにお弁当を詰めて雪の女王のお庭を散策よ！」子供はリスクを考えない。後で怒られてしまうとしても雪遊びという甘い誘惑には抗えないのだ。身体を揺らして早く行きましょうと催促すらする始末で。)

≫御影尋

だめだめ、進んでバッドエンドになる選択肢を選んではいけないわ。わたしはマスターとハッピーエンドが見たいんだもの！
(きっとこのマスターはわたしという物語でどんなエピローグを迎えても笑ってくれるのだろう。けれどけれども、見るならやっぱり幸せな方が良い。マスターを見上げてふるふると首をふり、ハッピーエンドを催促。それではその為にも第1章食堂の赤いのを無事に──「きゃっ、マスター？あの、目立っちゃうわ？それに手が塞がったら紅茶の準備が。」伸ばされた手に軽々しく抱き上げられてしまった。視線が高くなって嬉しい。抱えられて暖かくて好き。そんな思いが廻り、暴れるようなことはせず大人しく身体を預けて。)

御影尋.

ﾝな繰り返さなくても、ちゃんと聞こえてるよ。
(体は痛くなくても彼女はまだ悪夢の延長線上に居るようで、尚も同じことを繰り返す姿が痛々しい。…確かに何もかも奪われて挙げ句の果てにｱﾝﾘﾏﾕ《この世全ての悪》なんて言う碌でもない荷物を押し付けられたが悪いことばかりではなかった。特に、今の殻を被ってからは楽しい思い出もある。「前にも言っただろ、楽しいって。それに今の呼び名も気に入ってる。生まれた時の名前よりこっち( ｱﾝﾘﾏﾕ )で呼ばれたのが長いから、愛着だってあるんだ。」と得意げに、にひっと笑い布団の中で温めていた手を今度は貴女の頭の上に乗っけて、)


ﾅｰｻﾘｰ・ﾗｲﾑ.

んー…ちょっとくらい大丈夫じゃない？もしﾊﾞﾚちまったらそん時は…まあ、頭下げればいいさ。
(自分の場合諸々の事情からｶﾙﾃﾞｱｽとｼﾊﾞの監視網に引っかかることはまず無いし、貴女も姿形を変えてしまえばおそらく逃げ切れるんじゃないかと、適当な憶測を立てて上記を。それから親指で食堂がある方角を指して「それよか他にも何か持ってこーぜ。」と。せっかくのﾋﾟｸﾆｯｸ。ｽﾅｯｸ菓子だけでは何だか味気ないから外に出る前に、お楽しみを補充しようと提案。貴女の返事を聞くより先にさっさと歩き出し、)
　

>>ナーサリー

おやまあ、怒られてしまいました。貴女となら全部ハッピーエンドなのですけれど、貴女が望んだ結末に少しは近付けるように…まずは紅茶から
（抗議する小さな影は、大人しく腕に収まってくれたまま。自分も表情こそ変わらないものの、声は完全に楽しんでいる人のそれで返事をし、食堂を横切るように厨房へ。だってほら、最期まで一緒にいてくれるつもりで前を向く、こんなにも可愛い英霊が傍に居るのは幸せでしかない。「ほら、お好きな茶葉をお取りください」と、抱き上げた腕を少し上げ、上の方に位置している棚を示しつつ、片手でふわふわの貴女のスカートの裾を整えて）

>>アンリマユ

…好きです、アンリマユ
（頭の上に乗った手に、ふっと無意識に入っていた力が抜ける。あの高い、全てが見下ろせる場所で、誰もがこちらを指さして、そして…温かくて、大きな手、今ここに在るから、今なら自分でも守れる。小さく貴方の名前を呼んで、電池が切れたように目を閉じる。勝手に覗き見てごめんなさい、多分貴方は気にしないだろうけれど、それでも、これを悪夢だと位置付けてしまったことが少し申し訳なくて…温かい布団の中で、纏ったハーブティーの香りに飲まれて深い闇の底に落ちるように眠ることにして。起きたら雪合戦も、こたつでアイスもまだしていないから…）

御影尋.

(貴女からしてみれば怖い夢を見た後で最悪の気分だろうけどいつにも増して沢山甘やかしてくれるから自分は、表情筋が弛んでしまう。やがて穏やかな寝息が聞こえてくれば、静かに頭から手を離して…眠ってて聞こえてないだろうし自分も最後くらい。小さな声で「……ｵﾚも好きだよ。」と後出し…したは良いけど、やっぱりこれ…弱りながら隣に潰れて。よくまあこんな小っ恥ずかしい台詞何度も言えるｺﾄ。隣で静かに眠っている大切なにゃんこを起こさないようにそっと抱きしめて目を瞑り、)
　

>>アンリマユ

…、ふふ
（数分だったのか、数時間経ったのか、ふっと目を覚ますと目の前にある見慣れ始めた光景に僅かに顔を上げ。布団の隙間から見えた貴方の顔に、小さく笑うとのそのそと布団から顔を出して。何だか凄く温かい言葉を貰った気がするのに、思い出せないけれど…それでもいい、多分またいつか聞けるだろうから。目の前の顔をまじまじと眺めて、そろそろと視線を下げながら…ふいに少し前の仕返しがしたくなって、鎖骨に顔を寄せると口を開く。カルデアの皆に、夢のような冷たい意味ではなく…ある種温かい意味で、指を差されて笑われればいい…起きなければ、このままがぶっと痕を残そうと）

御影尋.

ん、ぅ、なに…？
(何やら首の辺りがくすぐったくて身じろぎしつつ、ゆるゆると薄目を開けてみると何故か人の首に噛みついてる貴女。率直に言って何してるんだろう…と、目覚めたばかりの頭では目の前の光景を処理しきれず、他人事のようにぼーっと貴女のこと見下ろしていて。首筋に息が掛かって少しくすぐったい。けど起きて最初に見る光景が飼い主の顔、というのは何というか酷く気が抜けて「…ﾋﾛ、」と名前を呟き腰に腕を回す。…温かいからもう少しだけこうしていたい、)
　

>>アンリマユ

…ふふ、あは、おやまあ
（口を離せばくっきりと、ついた歯型に満足。首輪のような束縛欲は無いけれど…うん、これは何だか満たされる。流石に目が覚めたかと思ったのに、聞こえた気の抜けた声と自分の名前を呼ぶそれにぱちぱちと瞬きをすると大人しく抱き寄せられたまま小さく笑う。あーあ、本当に困った飼い犬だ。どうせなら、目が覚めた時にいつも通りキャンキャン吠える姿が見たい…ので、次は何処に噛み付こうか、どんなイタズラをしておこう、髪の毛は三つ編みにするには短いから…なんて、視線をさ迷わせながら目元を緩めて）