――――古代遺跡より発掘された、“運命の預言書”『消滅の雲』の項抜粋――――
◆ネーイェルの月、月初のこと
――紅蓮の火柱が天を穿ち、世界中を消滅の雲が覆うだろう。
雲は太陽光から暖かさを奪い、冷たい光だけを残し、大地を不毛の地へ染め上げる。
そして、二代目魔の王を除く全ての魔族が、大陸から消し去られるだろう。
魔族の消失により世界の均衡は崩れ、破滅へのカウントダウンが刻まれ始める。
賢者イーニェ、鍛治匠テオ、魔人ウルスラは、始祖としての義務を全うしなければならない時を迎える。
◆アルヴィトの月、半ばのこと
――力ある人々が集い、消滅の雲を晴らすため、始祖の手により旅団が結成されるだろう。
その旅団は、雲の押しのけ大陸の未来を照らす、太陽の名を冠して“ソレイユ旅団”と呼ばれることになる。
しかし一方で、夜の名を冠する消滅の雲の使徒・“ナハト”が現れ、太陽の行く手を阻むだろう。
著 / 預言者アースガルド
――――この予言書が見つかったのは、エルルの月のことだった。
“消滅の雲”という未曽有の災厄に対する事前の対応策は預言書には記されておらず、大陸の人々は戸惑い、魔族は怯え、刻々と時は過ぎた。
そして、ネーイェルの月の1日。
予 言 は 現 実 と な っ た 。
2ヵ月の時が過ぎ、アルヴィトの月、1日。
ついに始祖たちは重い腰を上げた。
そして、大陸の人々へ招集をかけた。
――「 雲を晴らし、大陸を救いたい者は、王都アザネリアへ集合しろ 」と。
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