牙は深淵に堕つ、≪〆≫

牙は深淵に堕つ、≪〆≫

吸血鬼  2018-06-27 00:10:52 
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森を訪れたとある青年は、狼に襲われ、逃げ込むように古びた屋敷へ足を踏み入れた。

しかしそこは、血を吸う鬼が孤独に住まう、呪われた屋敷であった――。


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  • No.41 by とある青年  2018-07-03 00:35:48 


___人との繋がりなんて、温もりなんて…もうたくさんだ。どうせ無くなるものなのに。どんなに強く結んでも、簡単に途切れる。無意味だよ

(自分の奥底に眠った願いをズバリ言い当てられ、ハリーはしばし固まった。そして瞳から光を失わせ自分に暗示をかけるように呟く。だが自分に言葉を突き立てる度に過去の記憶がポツリポツリと浮かんで弾ける。ハリーは今ラザロを見てはいなかった)

…死ぬしかないから、死のうとしてるのか。もっと理由があるかと思ってたけど、何百年も閉じ込められてたらそう思うのが当然か。…なぁ、本当にここから出る手段はないのか?この状態を作ってるのはあの魔女なんだろ?魔女をなんとかすれば僕ら二人とも出られるんじゃ…

(人との繋がりを否定してもまだ過去は捨てきれない。彼だって本当は外に出ることを望んでいる。そして今ハリーというイレギュラーな存在が屋敷にあり、魔女は姿を現した。具体的にどうすれば良いかなどは分からないが原因が分かっているのならばなんとかなるのではないかと僅かな希望にすがってみる。それは同時に過去の約束にすがることを意味した)

……君は必ず僕のあとに死ぬ?どんなことがあっても必ず?僕の方が先に?君は…君なら、僕を置いていかないのか?

(だが直後ラザロの言葉に体が固まった。昨日言われた時から分かっていたことではある。だが彼本人から直接言われるとハリーの中に押し込められた本音が弾けた。自分の最期を必ず看取ってくれる、自分がベッドの傍らに立ち冷たくなっていく体をみる必要はない。それが確約されていることがどんなに幸せなことか。声が震えて呼吸が荒くなる。ここから出ていきたいと願ったばかりなのに、この屋敷に住み続ければもう二度と大切な人を失う経験をしなくてすむ。ハリーの心は激しくゆれていた)

  • No.42 by 吸血鬼  2018-07-03 01:06:50 



本当に無意味だと思っているなら、お前がそんなに哀しい顔をするわけがない。手に入らないものほど、自分の心を惹きつけることもある。お前に本当に必要なものは、否定でも忍耐でも孤独でもなく、確かな温もりだと、俺は思う


(ずっと目を見ながら喋ってくれていたハリーが、自分から視線を外しみるみる光を失わせていく様を見て、ラザロはなぜか胸に痛みを覚えた。彼が悲しそうな顔をしていることが、どうしようもなく自分をやるせなくさせた。自分に言い聞かせるように言葉を並べるハリーへ、今度はラザロが手を伸ばした。冷たい指先がハリーの頬へ触れる。穏やかな声音で紡がれた言葉は、然してその場しのぎの綺麗ごとなどではなく、ラザロの本心で)


魔女の呪いに立ち向かう……俺も最初は同じことを考えたよ。だがすぐに、この屋敷の中では無意味なことだと思い知らされた。ここは云わば魔女の体内で、魔女の支配する領域なんだ。火を放ち、屋敷を焼き尽くせば外に出られると思い実行したが、無駄骨だった。ならば生きている意味はないと、意を決して自害しようとしたが、その意志が魔女に伝わってしまって、屋敷の方にそれを阻まれた。俺にはもう、選択肢は残されていない。……が、お前一人だけならば……ここから出してやれる方法は、ある


(魔女をどうにかすれば、というハリーの提案に、ラザロは自嘲気味に笑った。少なくとも人間であるハリーよりは、物理的な力も特殊な力も強いラザロが手を尽くしても、魔女の呪いの顕現物であるこの屋敷には敵わなかった。そもそも、魔女の目的はあまりにも明確だ。それは、ラザロが死ぬまで永久にこの屋敷へ閉じ込めておくことであり、その強力すぎる呪いの効力は、きっとハリーにまでは及ばない。ならば、彼を屋敷から解放する方法には、一つだけ心当たりがある。喜ばしい内容のはずなのに、それを告げるラザロの表情はどこか陰っていて)


――……。ああ、ハリー。俺がお前を置いていくことはない。大丈夫だ、大丈夫……


(取り乱した様子のハリーの言葉に、心の中で大体の事情を察したラザロは、彼の心の痛みに思いを馳せた。大切な存在に先立たれる痛みはラザロには解らないが、それはきっと自分の半身を裂かれるようなものなのだろう。冷静で肝も据わったハリーをそこまで乱させるのだから、ラザロはいたたまれなくなり、そっとハリーにハグをした。安心させてあげられるように、まるで親が子どもを寝かしつける時のように優しく背中をぽんぽんとゆっくり叩いて)

  • No.43 by とある青年  2018-07-03 10:37:08 


違うんだラザロ、人との繋がりや誰かと一緒にいることなんて、いくらでもできる。でも…手に入れても、すぐになくなってしまうんだ。僕の指の間から、漏れて、崩れて、消えてしまう

(彼の手が頬に触れる。体温のない手がひんやりと心地よかった。そしてポツリポツリと言葉を紡ぎ出す。手にしてしまったらいつか失ってしまう。その度に心を痛める。それならば最初から持たなければいい、それがハリーの行き着いた答えだった。だが本当に必要なのは、彼の言う通り他人からの温もりなのだろう。実際今、ラザロと目を合わせたら色々なものが溢れそうだった)

っ、…ラザロ、僕は…______ラザロ、僕は、もう…大切な人が冷たくなっていくのを見たくない…君が、君なら…僕と、ずっと……

(ふいにハグをされ、反射的に体を押しのけそうになった。これ以上はまずい。昨日した線引きの意味がなくなってしまう。しかし、ラザロの体は冷たいのに、背中に腕を回されてそばにいるのが分かると、胸が暖かくなる。気持ちのこもったハグをされるのはいつぶりだろう。背中を優しく叩かれる度に心身の緊張が解けていくようだった。そして口をついて出てしまった奥底にしまい込んだ願い。それを口にした途端に感情が溢れて嗚咽が漏れそうになり思わず口を手で塞いだ)

…ごめん、ちょっと…取り乱した。話しを戻そう。魔女は君が自害するのも妨害するのか。魔女の目的がわからないな、君を閉じ込めたいのに死なせたくはない……それと、僕だけ出られるっていうのは、どういう意味?あんまり…良い策ではなさそうだけど

(口を塞いで様々なものを飲み込んだあと深く呼吸をして努めていつも通りに振舞おうとする。魔女は彼を幽閉するのに殺さない、まるで鳥籠の中にいる飼い鳥の命を弄ぶようだと思う。そこまできてふとひとつの考えがよぎる。もし愛しいものをずっと手元に置いておきたいのなら、あらゆる外敵から守り、ずっと目をかけられる位置に置くなら…鳥籠が1番じゃないかと。その可能性に行き当たったが、まずは彼の話しを聞いてみよう。自分だけがここから出る方法…ラザロの顔は曇っていて無意識に彼の心臓の位置に手を置きながら、チラついた外へと出る可能性を問うてみて)

  • No.44 by 吸血鬼  2018-07-03 11:38:58 



……それは、例の人間が薄命であることと関係があるのか……?


(ハリーが心の底から恐れるのは、人間関係そのものではなく、築き上げた関係を一方的に失ってしまうことなのだと知り、ラザロは一層悲しげな表情を浮かべた。人間はすぐに死ぬ生き物だとハリーの会話の中で知ったばかりで、ハリーは過去に大切な存在との死別を経験しているのだと内心で確信にも似た推測を持つ。彼の傷を抉りたくはないが、それよりも、彼の気持ちをより深く知り、痛みを知ったうえで傍にいてやりたいという気持ちが勝って)


…………いい、無理に喋るな。辛かっただろう……、お前はよくやっているよ


(絞り出すように言葉を並べ、これ以上感情があふれ出すのを躊躇った様子のハリーに、これ以上は喋らなくてもいいと優しい声音で告げる。彼から身を離したが、自分はどこへも行けないから大丈夫だと言わんばかりに、今度は彼の頭を数回撫でて)


ああ、気にするな。……俺が初めて魔女と会った時、それは紛れもない偶然だった。その場で俺は、魔女に求婚されたんだ。だが当然、それを突っぱねた。それ以来、魔女に付きまとわれることになったが、その度にうまく躱して逃げていた。そうしている内に数十年が過ぎ、俺は久しぶりに人間の女の血を飲んだ。それを魔女が目撃した途端、激昂した……あれはとても、嫉妬深かったんだ。魔女はその場で自分自身と俺に呪いをかけ、その代償として命と肉体を捧げた。その呪いが屋敷を形成し、俺を中に閉じ込め、誰も俺に接触できないように孤独の呪いもかけた。魔女の意識は、未だこの屋敷にあるのだろう。だから俺はこの中で自害することも、抵抗することも出来ない。ここから出る方法が死しかなく、自害できないのなら、血を一切吸わずに緩やかに餓死するしかない……それが事の顛末だ。だが言った通り、この呪いは俺を一生閉じ込めておくための場所。俺が**ば、呪いは解けるだろう。だから……お前が俺を殺せば、お前だけは屋敷から解放される


(ぽつりぽつりと、真相を話す。魔女との出会い、そして一方的に魔女に魅入られてしまったのが究極の不運であり、魔女は異常なまでに嫉妬深かったのだと。昨日の手記に、“もしハリーが女であれば殺されていた”と書いたのは、そういう意味だった。こうなってしまえば、ハリーがこの屋敷に入れてしまったことも、偶然ではなく魔女の思惑だと言えるのかもしれない。ラザロを餓死させたくない魔女が、男の血ならいいだろうと、ハリーを屋敷へ誘導したのやもしれない。だがそれより重要なのは、ハリーをここから解放してやれると思われる方法のこと。ラザロは心臓のあたりに温かい体温を感じながら、恐れも躊躇いもない目でハリーの瞳を見つめて)

  • No.45 by とある青年  2018-07-03 15:50:11 


…僕の両親は僕の幼い頃に交通事故にあってね、父は即死で母は死ぬ直前の3時間だけそばにいることができた。それから…僕は家で1人だったけど、僕のそばにいてくれた奴がいた。あいつは家族以上だったよ、今だから言えるけど。毎日くだらないこと話して時々喧嘩して…いい時間だった。でも…彼は重い病にかかった。余命1年って宣告されてさ、必死にいろいろ…医者のところを回ってみたけど、ダメだった。僕の力が足りなかった。あいつが少しずつ弱っていくのは…少しずつ死んでいくのを見せられてるようだったよ。結局僕は…彼を救えなくて…あいつは自分と同じ病にかかった人を治せる医者になれって…勝手だよな、僕は医者になる気なんてなかったのに。でも、僕は…あの時のあいつを救いたくて今も医者を目指しているんだ。

(彼は自分の過去を話した。それならばこちらもいい加減この矛盾した性質を説明する必要があるだろう。頭を撫でられるのが心地いい、子供扱いのようなのに…だがそんなふうに自分を受け入れてくれるのが嬉しかった。そしてゆっくりと語った過去、未だにそこから動けないでいる自分のこと。今更医者になったって、あいつが戻ってくるわけじゃない。それでもあの時のあいつを救えるように医者になる。それはハリーにとって約束でもあり呪いでもあった。ハリーの心はあいつが死んだその時から動いていなかったのだ。この屋敷に来るまでは)

…君もなかなか壮絶な過去を持ってるみたいだな。君がここに閉じ込められたのが不運だと言った意味がやっと分かったよ。見初めた相手を永遠に自分のものにするために監禁か、迷惑な話だ。そして…もし君に出会った直後にこの話しを聞いてたら僕は君を殺して出ていく選択をしたかもしれない。でも…僕にはそんなことできないよ。彼女のご機嫌をとることってできないかな

(自分の過去を話して少し重荷が降りたのか彼がここに閉じ込められた経緯を聞いて苦笑が漏れる。どうやら鳥籠の予想は当たっていたようだ。そしてこれまで繋がらなかった様々な事情が飲み込めてくる。だが魔女の思考がまったく分からないわけでもない。もし大切な存在をあらゆる脅威から守り保護することができるなら、鳥籠の中に閉じ込めたいと思うもかもしれない。永遠に2人の時を過ごす…悪い話じゃない。しかし本人はこんなにも迷惑しているようだし、愛しい人が外に出たいと願うなら、ハリーは外に出してやるだろう。そして自分だけが屋敷を出る方法は即座に無しだと首をふった。過ごした時間はあまりにも短いのに、ハリーはラザロに自分の過去まで吐露してしまったのだ。なぜ彼なら話せたのかは…分からない。幽閉された彼に同情してしまったのか、あるいはいとも簡単に自分の本音を言い当てられてしまったからか、彼が自分の傍からいなくならない存在だと知ったからか…いずれにせよ、彼を殺すという選択肢はない。魔女にお伺いでも立てるかと冗談めかして笑い)

  • No.46 by 吸血鬼  2018-07-03 16:22:36 



…………そう、だったのか。死に至る病、か……それで医者を志したんだな。それが、俗世への未練でありお前の唯一の夢か。俺としては、誰かの為ではなく、自分の為に夢を追って欲しいところだが……これはお前の問題だ、俺が横槍を挟むことではないな、すまない


(二度も大切な肉親を亡くし、そして目の前で命の灯が消える瞬間を見せられれば、トラウマにもなろう。吸血鬼は人間と比べて親兄弟の概念が薄く、ラザロ自身も誰か特定の存在に入れ込んだことなどなかった為、ハリーの気持ちを完全に理解してやることは出来なかった。価値観の違いに、どうハリーに言葉をかけていいか悩んだが、それでもラザロが一つだけはっきりと思っていることを伝える。このままでは、ハリーと死別した彼の絆は呪いのまま終わってしまう。それで形だけ医者になったとて、彼は戻ってこない。待っているのは空虚な結末だけなのではないかと危惧するが、それもハリーの人生か、と、あくまで彼の選択を慮って)


ふ……、だろうな。尤も昨日の段階ではこの話をするつもりはなかったし、いくら飢えて弱っているとはいえ、人間に殺される気はしないが。……お前の正体が聖職者や吸血鬼狩りなら話は別だがな


(冗談ぽく笑うハリーにつられるようにして、ラザロも微かに吐息混じりに笑った。ラザロがこの話をしたのは、ハリーが自分を殺せないと考えたからではなく、もしも彼が心から望むのであれば、自分の命を擲ってでもハリーをここから出してやりたいと思ったからだ。だが彼にはそのつもりはないらしく、念のために弱点はまだ秘密にしておこう)


この屋敷内で起こることの全てを、あれは知覚しているだろう。あれの機嫌を取りたいのであれば、俺が諦めてあれのものになると宣言するか、あれの思惑通りにハリーが俺に血を捧げるか……その二つしか選択肢はないだろうな。唯一幸運なのは、あれが肉体を捨てたことだ。おかげで俺達に直接干渉してくることはないだろうが……油断禁物だな


(魔女を懐柔できればどれほど楽だったか、とラザロは溜息交じりに話し始める。そもそも自分の命を捨ててまで相手の意思を無視して監禁にまで踏み込む女だ、一般常識が通用する相手ではない。道徳や美徳云々も、一笑に付されるだろう。既に死んでしまっているため、金や美食での交渉の効果も見込めない。だが、肉体がないことがこちらにとってメリットとして働く場合もある。ただ、屋敷そのものが魔女であるという現状に変わりはないので、慢心すべきでないとラザロは目を伏せた)

  • No.47 by とある青年  2018-07-03 19:46:47 


謝るなよ。僕もこのまま医者になったって、得るものはないのは分かってる。でも僕の夢か…難しいな。僕だけで成り立つ夢は残念だけどもってなくて。僕は今のところ死んだあいつに生かされてるんだ、腹立つけどさ。

(人はいずれ死ぬ、それも簡単に。それを嫌というほど分かっているし、その理に逆らおうとも思わない。いくら医療技術を学んでも過去の生活は戻らない。本当なら未来に目を向けなければいけないのだろう。だがあいつを亡くした時にそう声をかけてくれる人間はハリーの周りにいなかった。まだハリーの生きる意味は過去にしかない)

確かに僕じゃ君には叶わないかも。その言い方だと聖職者か吸血鬼狩りなら君をどうにかできるんだな。まぁ冗談はさておき、君にニンニクや十字架が効かないんじゃ、僕はお手上げだよ

(そもそも基礎能力に雲泥の差があるであろう彼に暴力で勝てるなど到底思わず。吸血鬼は老衰や餓死以外で死ぬような口ぶりだったが、今はそれを知る必要はないだろうと両手をあげて降参のポーズをとり)

…そうか、やっと僕がこの屋敷に入れた意味がわかったよ。彼女にとって僕は、君の餌なんだな。……君の望みを叶えるなら、僕は君を見殺しにしなきゃならないのか。まぁとにかく、少なくとも魔女は僕に姿を見せることはできるようだから…このまま大人しくしてればいいけど、執念深い彼女なら君に僕の血を吸わそうと仕掛けてくるかも。どうやるかは検討つかないけど

(ラザロからワンテンポ遅れてようやく自分の立場を理解する。鳥籠の中に放り込まれた芋虫、主人が飼い鳥のためにと与えた餌が自分だった。目を伏せる彼を見ながらぼんやりと頭に浮かんだことが口から流れる。彼は死ぬために断食している。彼の望みを叶えるならばハリーは彼が死ぬように手ほどきを、つまりは自分の血を与えないようにしなければならない。間接的に彼を殺さなければならないのだ。目線が泳ぐ。彼の望みを叶えてやりたい気持ちと、彼には、生きていて欲しいと願う自分がいた。頭をふって今はそれを考える時じゃないと邪念を振り払う。自分の命を投げ打ってでもラザロを閉じ込めた魔女だ、このままただ傍観するだけでは終わらない予感がする。彼がこれ以上苦しむことは起こって欲しくない。彼を守らなければと密かに心の中で思っていた)

  • No.48 by 吸血鬼  2018-07-03 23:46:14 



生きる意味か……。案外、素っ頓狂な所から見つかるものかもしれないな


(死んだ人間に活かされていると自嘲気味に宣ったハリーを見て、ふと考えこむ。生きる意味など、自分自身考えたことがなかった。ここに閉じ込められる以前の楽しみと言えば、美味い紅茶を見つけることと、美味い血を持つ人間を狩ることだけ。その一方を封じられたことは当初は痛手だったが、かといって死にたいと思うほどでもなく、人間が生きていくには理由や意味がいるものなのか、と難しそうな顔をして)


奴らは人外を味方につけているからな。例えば、吸血鬼に恨みを持つ悪魔や式神、その類と共闘して俺達を狩る。どの道、人間界に普及している類の正攻法では、俺は殺せないさ


(聖職者や吸血鬼狩りとて、所詮は人間。だが彼らの強みは、神や天使や悪魔などの人外と協力関係にあることだ。人間の知恵や工夫には目を瞠らされるものがあるとラザロは考えている。多くの吸血鬼が人間を下等生物や家畜と蔑む中で、ラザロが人間を対等に扱う理由はそこにあった。それでも、単純な戦闘能力で劣る気はしなかったが)


俺の本当の望みは、生きてここから出ることだ。……だがそれはあまりに現実的でないから、プランB……つまり餓死する方向で日々過ごしている。そうだな……だが獲物としてお前に目を付けた理由がまだ解せない。ハリー、お前は特別な血液型を持っているか?


(ハリーに見殺しにされることは決してラザロの本望などではないが、それでも未だにラザロはハリーの血を飲んでまで延命することは望んでいない。というよりも、血を吸うことでハリーを物理的に傷つけてしまうことを嫌っているのだが、そのことにはラザロ自身気付いていなかった。いくら人間を対等な存在に見ているとはいえ、人間は知能の高い獲物であり、それ以上の認識は今まで持ったことが無く)

  • No.49 by とある青年  2018-07-04 11:36:53 


だな、案外簡単に見つかるかも…できればそれが君だと、僕には都合がいいけど…ごめん、自分勝手なこと言った

(未来に生きる意味を見いだせてはいないが、彼の言う通り、そういうものはひょんな偶然によって見つかるかもしれない。そしてその意味を、自分より先に死ぬ事の無い彼に見出すことができればハリーは傷つかずにこの世を去ることが確約される。だがそんな理由で彼に縋るのはあまりにも自己中心的だ。不用意なことを言ったと首をふる)

吸血鬼がいるなら悪魔も式神も、伝説上の人外は存在するわけか。僕には縁のない世界だったのに。僕がよっぽど外に出たいと思わない限りは君を殺そうなんて思わないよ。そもそも殺し方も分からないし

(おとぎ話の存在が当然いるように話されると信じられないと苦笑するが、そもそも目の前には伝説の吸血鬼がいるわけで、それならばその他の人外もいるのだろうと納得する。吸血鬼に恨みがあるわけでもなく、外には出たいが彼を簡単に殺せる程薄情でもない。今のところは彼をどうにかしようなんて気は起こらなくて)

それなら僕らの目標は2人揃ってこの屋敷を出ていくことだ。やり方なんて分からないけど…目標は高く持たないと。僕の血液型?僕A型なんだけどRhマイナス型なんだ…って言って分かるのかな。一般的には珍しい血液型だけど…もしかして珍しい血液型の方が好みだったりする?

(彼は諦めて死のうとしている。それならば目標は2人ともがここから出る結末だ。口で言うほど簡単ではないが、目標を掲げるだけならば罪はないだろう。それに彼にまた自由を与えたかった。カーテンの隙間から夜空を覗いたラザロの背中には未練や寂しさが滲んでいてそれをどうにか払拭したい。過去に囚われているハリーが言っても説得力にかけるかもしれないが、彼には幸せでいて欲しいという思いが胸にはあった。突然血液型を聞かれて驚きつつも正直に問いに答える。その答えを口にしているうちに、その血液型に自分の価値があるのかと思い至って)

  • No.50 by 吸血鬼  2018-07-04 17:59:46 



……俺が?悪いが、皆目見当も付かないな


(自分がハリーの生きる意味に、と言われ、目を丸くする。ラザロに出来ることと言えば、多少の魔法で生活を少しだけ豊かにするか、ハリーの話を聞いて傍にいてやることくらいだ。その程度のことしか出来ない自分が、辛い過去を背負うハリーの生きる意味になどどうやって成りうるのかと苦笑して)


まさしく夢物語だな。期待はしないが、お前が此処にいるうちは、夢を見るとしよう。…………聞かなければ良かったな……。いいか、まずRh抗原はC、c、D、E、eに分岐していて、中でもD抗原を持たない血液をRh陰性、つまりマイナスと分類する。このD抗原が人間の血液に臭みや濁りを生み出し、風味や喉越しを損なわせている。Rhマイナスは、余計なものが取り除かれた純度の高い血液であり、シンプルでいてなお、味の中に深みがある。お前はA型か……なら、主張の控えめで穏やかな味わいながらも、凛とした個性を持つ血液だな……。…………性悪女め


(ハリーと2人で生きてこの屋敷を出る、それは現状を誰よりも深く痛感しているラザロにとっては荒唐無稽な夢物語。だが、ハリーが一緒にいるならば、絶対に何があっても不可能という気もしない。とはいえ、過度な期待はしないに越したことはない。そしてハリーの血液型を聞いた瞬間、ラザロはハリーから離れた位置にある椅子に座り、腕を組んで数秒俯いた。そして顔を上げたかと思えば、いかにRhマイナスの血液が吸血鬼にとってのご馳走なのかを熱弁し始める。この熱の入りようから見て、恐らくA型Rh-が、ラザロにとって一番の好物なのだろう。矢継ぎ早に話し終え、一息ついた後、ラザロはまたしても沈黙し、最後に一言だけぽつりと呟いたて)

  • No.51 by とある青年  2018-07-04 19:01:47 


別に特別なことはしなくてもただ……そうだな、新しい趣味でも見つけた方がいいかも。この屋敷に本がたくさん置いてる部屋ってある?

(ラザロと波長があうのは確かで、それならば特別なことなどしなくともただ毎日穏やかに過ごしていれば彼ともっと親しい関係になれるのかもしれない。しかしそこにはラザロがずっと傍にいてくれるからというハリーの下心があり、それをハリーは自覚していて言いかけた呟きを飲み込んだ。自分の都合を彼に押し付けるわけにはいかない。代わりに微笑みを向けつつ書斎か図書室のような部屋があるか問う。本と対話していれば自然と彼との接触時間も減るはずだ)

それくらいの心持ちでいよう。絶対出るなんて意気込んだらきっと息が詰まって苦しくなる。でもいつかは…出れるといいな。できれば僕が医者になる時間があるくらいの時に。……なるほど、それが僕がここに入れた理由か。つまり僕は君にとって餌どころか極上のステーキってとこなんだ。本当に怪我しないように気をつけないと

(この屋敷をでる方法なんてラザロが散々ためしただろう。このまま屋敷で一生を終えても困る人間はいない。だがもし出ることができるのならば、願わくば約束を守れる期間だけであって欲しいと分厚いカーテンを見つめながら言う。血液型に関しては医学生の知識で抗原の話までは頷きながらきき、だがその味の話になると体を静止させ、彼の話しを聞いていた。思わず唾を飲み込む。ラザロが血液を欲する吸血鬼だったならばすぐにでも吸血されていただろうと余計なことを考えながら「嫌な奴だな」と天井を見上げつつポツリと呟いて)

  • No.52 by 吸血鬼  2018-07-04 20:58:21 



……そうだな、特別なことはしなくとも、屋敷を探索するだけでも充分に時間は潰せる。明日から一緒に屋敷を回るか?本、か……あるにはあるが、図書室にあるのは悲劇ばかりだ。魔女の趣味なのかもしれないな


(ハリーが言いかけて断念した言葉の続きを、謀らずしてラザロが口にする。ラザロとこれ以上深い関係になることを拒むハリーの恐怖など、もう克服したようにあっけらかんと。特別なことはしてやれないが、一緒に星を見たり、屋敷に何があるのか探したり、隣で読書をすることくらいならば出来る。ただ問題なのは、この屋敷には読んで楽しい気分になるような本はないこと。魔女が意識してそうしたのかは、彼女のみぞ知るところだが)


ああ……お前が俺と過ごす中で、どうしても夢を諦められないと心の底から渇望するなら、俺の方が折れるかもしれんな。無論、魔女がどう動くかは分からないが。ここで死を待つしかない俺と、追い続けたい夢があるお前、どちらが生き延びるべきかは明白かもしれない。そうだな……ともかく、台所には立たないように。暇を持て余して手芸の類に手を出すのも遠慮してくれ


(ずっと追い続けた夢を簡単に捨てられないのは当たり前だ。それが呪いならばなおさら。だからラザロは、自分が生きることを諦めることでハリーの夢が叶うならば、それも一つの選択肢だと本気で思い始めていて、それを臆面もなく口に出しておく。今すぐというわけにはいかないが、今後ラザロの中でハリーの存在が大きくなれば、その選択をする可能性もある、と示唆して。屋敷の中で出血を伴う外傷を負う危険性など、予防できるものからできないものまで満ち満ちているが、とにかく刃物や針には触らないようにと釘を刺しておこう)

  • No.53 by とある青年  2018-07-04 22:39:22 


_____あぁ、うん…そうしてくれると、嬉しい。僕はまだこの屋敷のこと全然知らないし、教えてくれるとありがたいよ。全て?そこまでくると嫌がらせだな。絵画の図録とか美味しい紅茶の入れ方が書いてあるのが読みたかったのに

(ハリーが途切れさせた望みをラザロが口にして胸が詰まるような感覚に襲われた。同時になぜか目が潤む。ずっと欲していた誰かと過ごす日常…くだらないことで笑って、些細なことで喧嘩する、それをラザロから提案してくれたことが嬉しかった。感情を抑えるようにゆっくりと息を吐いたあと、数度頷きながら自然と笑みが零れ、屋敷を案内してほしいと願いでる。明日ラザロと連れ歩くのがもう待ち遠しい。それこそ明日へ生きる意味になっているとは本人も気づかないままで。趣味を見いだせるような本はどうやら置いていないらしい。ラザロを生かしたいのなら多少の娯楽は用意しておけと内心で魔女に文句を言っておく)

いや待て、ラザロ。確かに僕はこの屋敷から出たい。でも君を殺してまで出たいなんて思わないよ。それに勝手に屋敷を出るのにふさわしいのが僕だなんて決めるなよ。少なくとも僕は、君が死ぬべきだとは思わない。…分かった、刃物を使うような場所には近づかないようにする。あと足元にも気をつけるよ

(1人で死ぬべきは自分だと言う彼の腕を掴むと首をふる。そうやって彼を止めながらもハリーの心は2つの選択肢で揺れていた。屋敷から本気で出ようとするのか、ここで大人しく暮らすのか…それは即ち、過去に留まるかラザロと新たな関係を築くかの二択でもあり、どちらを選択したいのか、ハリー自身にもまだ分からなかった。彼と共に過ごすなら今まで抑えこんだ感情が溢れて際限なく彼を求めてしまいそうな気がする。それを彼は迷惑がるかもしれないし、魔女の機嫌を損ねる可能性だってある。ハリーは今後どうやって、どの程度ラザロとの関係を築くか、まだ決めかねていた)

  • No.54 by 吸血鬼  2018-07-04 23:15:15 



そうか、なら良かった。そういえば風呂の機能も満足に使えていないだろう、近々一緒に入るか。使い方を教えてやる、……どうした?もう眠いか?


(屋敷を探索するという提案は、快く受け入れてもらえたらしい。そこでふと思い出したのが、屋敷の唯一の美点とも言える無駄に豪華な風呂のことだ。だがあれは動力源が複雑な問題で、ラザロの魔力が無ければ動かない設備も少なくない。そこでラザロはいきなり裸の付き合いを申し出るが、出会って数日の相手に対する人間界の常識には当てはまらないことなど知る由もなく。ふと、ハリーの目が潤んでいることに気付き、欠伸でもしたのかと彼の顔を覗き込んで)


……、そうか。複雑だが、お前がそう言うなら今後こういった発言は控えよう。ああ、すまないな……本当に、頼む。何かの間違いでそんなことがあれば……本当に俺は、きっと自分を抑えられない。狂った獣のように、お前を求めてしまうだろう


(腕を掴まれ、強い語気で否定されたことに、ラザロは驚いて目を軽く瞠った。どうやら自分の提案は、ハリーにとっては的外れなものだったらしく、彼がそう言うなら、と素直に頷いた。そして、怪我には細心の注意を払うと言ってくれたハリーに、せめて彼が自分の大好物でなければ、と申し訳なさそうに眉をひそめて。彼がただの人間ではなく、稀に見る美味な血の持ち主だと知ってしまった今、一瞬その香りを嗅いだだけでも、理性が吹き飛ぶ自信しかなく)


(/お疲れ様です!一つご相談があるのですが、遅かれ早かれ、事故的な吸血イベントを起こしたいと思っております。魔女の意識でシャンデリアが割れて、その破片でハリー君が怪我をしてしまって、ラザロが我を忘れて貪りつく――的なイベントを予定しています。内容が内容なだけに、下手なタイミングで起こすと2人の間に溝が出来てしまうかなー…というのが大きな懸念点で。なので、お互いが恋人同士という認識を持つまで延期するか、成り行き任せで近々起こしてみるか悩んでいるのですが、ぜひぜひ本体様のご意見を賜りたく……!)

  • No.55 by とある青年  2018-07-04 23:59:45 



え?あ、いや、まぁ確かに、今日入った時はシャワーしか浴びれなかったけど…ま、ぁ…君がいいって言うなら、一緒に風呂に入っても、問題ない。あぁ、これは…眠くないけど、そろそろ寝る時間かな?

(ナチュラルに提案された風呂の誘いにピシリと体を固める。彼の言う通り今朝は風呂の使い方がさっぱり分からなくて残念ではあったが、まさかいきなり一緒に風呂に入ろうと誘われるなんて。吸血鬼にとっては特別なことではないのかもしれないと思いながらも動きと口調がカクカクと不自然になってしまう。そうやって動揺を隠せないでいると気がついた時にはラザロの顔が近くにあり、変に意識してしまったせいかドキリと心臓が脈打った。またおかしな反応をしてしまったと内心後悔しながら、時計をみつつその場を誤魔化した)

そうしてくれ、僕らは二人とも魔女に囚われてる同士だ、どっちかが犠牲になるなんて…おかしいだろ。謝るなよ、悪いのは魔女だ。冷静な君がどんな風になるのか想像もつかないけど…狂った君を見ないよう祈っとくよ

(掴んでいた手を離すと、掴んでいた箇所を労るように軽く撫でた。申し訳なさそうな彼には微笑みをむけて、先程ラザロがやってくれたように軽く背中をポンポンと叩いた。狂った、というのがどの程度のものかは分からないが、怒りに震える彼はもう見ており、なかなかの迫力だった。それを超える姿となると想像の範疇にはなく、しかしハリーは怪我に気をつければ大丈夫だろうとどこか楽観的で)

(/いつもお世話になっております!話の流れ的にもそろそろ吸血かなと此方も思っておりました!個人的には事故的に吸血が行われ、そこから接触が増えて2人の距離が縮まっていくのではと思います。ですので成り行きで吸血イベントを起こしてしまっても良いかと!)

  • No.56 by 吸血鬼  2018-07-05 02:02:29 



……?おかしな奴だな。種族は違えど性別は同じだ、照れることはないだろう?そうだな……まだ寝るには早いが、服を見に行くか。確か使っていない部屋着が、寝室にいくつかあったはずだ


(いきなり挙動や口調が固くなったハリーを、不思議そうに眺める。吸血鬼全体に言える事なのか、それともラザロの特性なのか、羞恥を感じるポイントが人とはかなりズレているようだ。時計に視線を移したハリーに、自身も身に付けている懐中時計を見る。まだ夕方頃で、人間の眠る時間には早い。だが考えてみれば、ハリーはバスローブ一枚にラザロの上着を羽織っただけという状態だ。服を探しに寝室へ行こうと、応接間の扉を開けて)


まあ、そうだが……元を辿れば、俺の呪いにお前を巻き込んでしまった形だからな。少なからず、罪悪感はある。……人間の血を吸うことを、恐ろしいと思ったのは今回が初めてだ。数百年の飢餓から解き放たれ、お前の血を吸い尽して殺してしまうこと。殺すまではいかずとも、お前に恐怖を味わわせてしまうこと。……その後、お前の俺を見る眼差しが、変わってしまうこと。獲物である人間からの畏怖の視線など、今まで気にしたこともなかったが……不思議だ


(優しく自分に身体に触れてくれる体温と、向けられた微笑みが少しだけラザロの罪悪感を和らげた。しかし、ハリーが優しいことは会話の中で十分知っている。きっと彼は、心の中でこの状況を整理しきれていないだろうに、それでも自分を気遣ってくれる優しさと精神的なタフネスに内心感服した。寝室に向けて廊下を歩きながら、ふと思ったことを口にする。今までラザロにとって、人間は対等な存在ではあるものの、それでも餌に過ぎなかった。餌にどう思われようが知ったことなど無かった。だがもし、吸血をすることでハリーに嫌われたとしたら?それを考えると、血を飲むことが恐ろしくなる。吸血鬼が吸血を恐れるなど、心底不思議だとしみじみと話して)


(/いえいえ此方こそ!ハリーくんのナイスパスのおかげでスムーズに話が進み、とても助かっております…!おお、かしこまりました!では、次かその次のレス辺りで吸血イベントを起こしますね。また一つ、お伺いしておきたいことがあるのですが、ラザロは本当に久しぶりに吸血なので、吸血中は完全に我を失っている状態です。そんなラザロをどう我に返すか、という方法なのですが、それも今後の親密度に大きく関わって来るかと。そこで提案、というか半ば妄想なのですが、ハリーくんがラザロに血を吸われた時、愛おしそうにそれを受け入れるか、もしくはラザロの気を逸らすために額かどこかにキスをするかなど、どうでしょうか…!恐らくラザロも意表を突かれて反射的に我に戻るのではないかと。もちろん、他にもやりたいシチュがありましたら遠慮なくバンバンお聞かせくださいね!)

  • No.57 by とある青年  2018-07-05 10:25:22 


僕の感覚では…二人っきりで風呂に入るのは、恋人同士だけだと。性別関係なく。…まぁともかく、君の言う通り着替えた方が良さそうだ。このままじゃ冷えちゃうし

(ラザロにとっては男2人で風呂に入ったとしても別段意味はないようだ。一応こちらの感覚も伝えておくが、もうイエスの返事は出してしまったし、彼が気にしないのならこちらの意識の問題だ。それに風呂の機能が気になる。おかしくなった空気を振り払うように手を数回ふったあと、彼の提案を受け入れ応接間を出た。寝る時間なんてまだまだ先、それならば暖かい服に着替えておかなければ)

いや、悪いのは君じゃない。もとを辿るなら勝手に君に執着した魔女が悪いんだ。餌として僕を入れたのもあいつだし、君が謝ることじゃないよ。…それって僕のことただの餌としてじゃなくて、情を持って接してくれてるってこと?嬉しいよ。正直、君の感情が昂ってた時は怖かったから少し物怖じするかもしれないけど、もし何かそんな間違いがあっても今の君との関係は変えない、誓うよ

(まだ罪悪感を持つ彼に元凶は魔女だと断言する。この屋敷は彼女の体内と同じならこの発言だって彼女は聞いているだろうが、そんなこと知ったことではない。彼女のご機嫌とりをしようかなどと考えていたが、今はラザロを追い詰め後ろめたい気持ちを持たせていることが腹立たしかった。廊下を並んで歩きながら不思議そうな顔をする彼には悪戯な笑みとからかう口調でかまをかけてみる。しかし実際自分が少し特別に扱われていることに悪い気はせず、むしろ上機嫌になった。彼の吸血鬼としての面はまだ知らない。だが彼の内心はまだ日は浅いもののいろいろと知っている。そんな彼を簡単に切り捨てはしないと言いきかせて)

(/先にいろいろ伏線を出して下さってるのでスムーズに返せております…こちらとしても滞りなく話が進み嬉しいです!ラザロくんを我に返す方法に関して先程のレスを読んで考えたのですが、ハリーなら吸血され死を感じた時にラザロが罪悪感を持たないようにお別れと感謝という意味のキスをするかなと…それでギリギリラザロくんが我に帰りハリーは一命を取り留める…なんてことを考えたのですが、いかがでしょうか?)

  • No.58 by とある青年  2018-07-06 00:52:43 


(/前レスでラザロくんの暴走を止める方法としてお別れと感謝の意味のキス…と書きましたがご提示いただいた気を逸らすためにキスをするという流れでも全く問題ありませんので…お好きな方を選んで下さいね!)

  • No.59 by 吸血鬼  2018-07-07 19:05:40 



.....?そうなのか。まあ確かに、さほど親密でもない者と入ったりはしないな。.....まあ、お前の気が向けばで構わんが


(二人きりで風呂に入るのは恋人同士のみ、という価値観に、またしてもカルチャーショックを覚えて不思議そうに腕を組んだ。そう言われてみれば、確かに吸血鬼同士でも仲が悪い者と二人で入浴したことはないなと思い至り、そこでようやくはっとする。ハリーは、他人と親密になることを望んでいなかったのだと。だが今更前言撤回をするには遅いと考え、あくまでハリーが嫌でなければと付け足しておいて。ちょうどそこで寝室に到着し、扉を開けて入室して)


.....そう言ってもらえると、少し気が楽になる。情、か.....これは情、というのか。人間と吸血抜きで親しくなることなんて初めてだ。そう、か。幸いお前は肝も据わっているようだしな。だがもしお前が許すと言ってくれても、俺は俺自身を許すことが出来ないかもしれん


(あくまで悪いのは魔女だと言い張ってくれたハリーに、ふわりと笑みを向ける。ふとそこで、情という言葉に引っかかったようで、小首を傾げた。ラザロがハリーに向ける感情は、情なんてものではない気がしたが、ラザロ自身この感情の名がわからず、釈然としないままとりあえず情ということにしておいた。ラザロが我を失いハリーに襲いかかる事故を経ても、この関係は変わらないと言ってくれたハリーの目をじっと見つめて、その真っ直ぐさにラザロはどこか眩しそうに目を逸らした。それと同時に、もしそんなことが起これば、ハリーが責めずとも自分で自分を責めるだろうと苦笑して)


『フフ......本当にそうかしら 』


(ふと寝室に、妖艶な女性の声が響いた。しかしそれは、ノイズを何重にも重ねたような濁った不気味なもので。〝もし何かそんな間違いがあっても今の君との関係は変えない、誓うよ 〟――そんなハリーの健気な言葉を嘲笑うように、寝室のシャンデリアの電飾が音を立てて弾けるように割れ、その破片が意思を持つかのようにハリーの首筋へ飛来し、皮膚1枚を薄く切り裂いた。それは間違っても致命傷には至らない、放っておいても問題のないような小さな傷。だが、問題なのは、その傷から一筋、ハリーの血が垂れたこと)


――......!!


(匂い立つ血の香りは、たった一滴でも冷静沈着なラザロの理性を吹き飛ばすのに充分で。咄嗟にハリーとは逆方向に顔を逸らし、これ以上血の匂いを嗅がないように鼻と口元を手で覆うが、既に手遅れ。手で隠されたその奥では、数百年隠していた牙が顔を覗かせていた。次の瞬間、コウモリを彷彿とさせる大きな翼が、ラザロの背中を突き破って広がる。ラザロの瞳はアメジストからガーネットへと色を変え、瞳から煌々と溢れる光は、ラザロの動きに伴って光の軌跡を描く。人智を超えた速さでラザロはハリーの両手首を掴み、そのままベッドに押し倒しながら彼の首筋に顔を埋め、冷たい舌で首筋を濡らす赤い蜜を舐めとった。無論それだけで止まるはずもなく、本能はさらに血を貪ることを求め、ハリーの首筋に牙を突き立て、ジュルジュルと音を立てながら急激に血を吸い上げる。ノイズがかった魔女の哄笑が寝室に響き渡った)


(/仕事の都合で返信が遅くなり申し訳ございません...!ラザロの暴走の止め方についてですが、お別れという意味のキスだと、ラザロの気持ち的にその後の関係修復が難しいかなと思いますので、愛情の表れ+意表を突くことが目的のキスでラザロを止める、という流れでお願いしてもよろしいでしょうか...?)

  • No.60 by とある青年  2018-07-07 23:27:45 


いや、まぁ…いつかは、一緒に風呂に入ろう。あの風呂の機能全部見ておきたいし。僕も吸血鬼と仲良くなるのは当然初めてだけど、僕らきっと…いい関係になれると思う。だから君が君を許せないなら、許せるようになるまで僕は君のそばを離れない

(ラザロに続いて寝室へと入ると、こちらから風呂に誘ってしまった。先程恋人同士で入るものだと答えた手前少々恥ずかしく目を逸らしてしまうが、彼となら裸の付き合いをしても悪くないと思えた。風呂の機能を見たいからと言い訳しておけば、変な意味にもならないだろう。ラザロが零した笑みにこちらも微笑みを返すが、彼は目を逸らしてしまった。それがどういう意味か分からずに不思議な顔をこちらも浮かべ、同時に自分の言葉にも違和感を覚える。2人の関係を言い表す言葉が見つからなかったからだ。「僕らきっといい友達になれる」と言おうとして言葉を飲み込む。友達、という言葉に違和感があった。親友でもない。それならば自分が彼と望む関係はどんなものだろう)

え、なに…______っ、ん…あぁ、まずい。ラザ…っ!

(考えを巡らせていると突如聞きなれないノイズのような声が聞こえる。それがこの屋敷自身、魔女の声だと気がつくのにしばらくかかった。そしてその間にシャンデリアが落下し、直後首筋に小さな痛みを感じる。反射的に首筋に手をやった。じんわりとした鈍い痛みが首筋に広がる。手のひらを見ると赤い液体がついていた。この屋敷で決して流してはいけないと言われていた赤い液体、それを見てゾクリと背筋が凍る。冷や汗が一気に吹き出した。その後の出来事は実に一瞬だった。ハリーがラザロの方をみた時には彼の口には牙が、背中には翼が生え、瞳が真紅へと染まっていた。伝説と同じ人外の姿に息を飲むと恐怖を感じる前に体が思いっきり押されて意識が追いついた時にはベッドの上で首筋に冷たい舌が這っていた。そして続けざまに首筋に更なる痛みが襲う)

ガッ、っ、ん……ラ、ザロ…まっ……

(首筋の痛みに肺から空気を押し出す声が漏れ、続いて血を吸われて一気に体から体温が奪われていく感覚に襲われる。このまま意識までも取り払われそうな感覚、一気に死の予感がハリーの頭を渦巻いた。暗い天井を虚ろになっていく目で見上げ魔女の笑い声はガンガンと頭の中で鳴り響く。先程のハリーの誓いを嘲笑うようだ。このままでは魔女の思惑通り、ハリーは極上の餌としてラザロに喰われ、ラザロの命を伸ばすだけで終わる。そう考えると胸の中で怒りの感情が湧き上がった。彼を身勝手な理由で閉じ込め死ぬよう追いやっているくせにそれでは不都合だからと餌を放り込みわざとラザロに血を吸わせている。このままではラザロは自責の念を抱えて何百年と1人で生きることになってしまう。それはどうしても許せなかった。彼にはまたあの微笑みを向けて欲しかった)

ラ、ザロ…僕は、誓いを守る…君のそばから、いなくなったり、しない…から

(押さえつけられた手首は動きそうにない。顔を彼の方に少し傾け口を彼の耳元に持っていくと、遠のきそうになる意識の中で、必死に心のなかの言葉を口から引っ張りだした。今起こっていることは1番恐れていたことだった。だがそうだとしても、彼が異形の姿で今まさに自分の命を奪おうとしているとしても、自分が立てた誓いは破らない。ハリーはまだラザロと2人の時間を過ごしたかった。魔女の思惑通りになってたまるものか。自らの誓いを立証するようにそっと顔を寄せるとラザロの耳にゆっくりとキスを落とす。大丈夫だとでも言いたげに頬を彼の頭に優しく添わせて、冷たい耳に唇を重ね続けた)

(/いえいえお気になさらないで下さい!魔女の悪意が明確に出てましたので、そこから奮い立たせての愛情のキスという流れにさせていただきました!2人の関係ももっと深めたいですし、こちらの方が良いですね笑)

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