赤ずきん 2018-06-22 23:40:29 |
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>AY-TK606
( 工具を回収したいと言って脱出ポッドの所まで一旦戻って行った彼を待ち、帰って来たところで背を凭れさせていた機体から身体を離す。食べ物も、などと宣う相手に“こんな何もない星に食べる物なんかあるか”とツッコミを入れたくなるが、はたと昔耳にした話を思い出し、開きかけていた口を閉じる。実際に目にしたことはないが、樹や草に実る食べ物があるのだと話に聞いたことがあった。幼い頃から戦艦の中でばかり生活しているからか、植物が自生する環境は身近なものではなく、そういった類の話には疎い。おまけに土の上を歩くなんて事もずっと長いこと無かったわけで、金属には無いふかふかとした感触に居心地の悪さを感じていたところだ。星には知らない事ばかりが溢れている。物心ついた頃からパイロットになるための教育を受け、それ以外の物は何一つ学ばされなかったし、与えられなかった。自身を含めるこの国の兵士は皆が帝国の所有物で、それ以上でもそれ以下でもない。その事実を鮮烈に刻み付けるのが“コードネーム”の存在だ。何と呼べば良いか、と尋ねられれば、それに対し一つしか持たない答えを迷いなく告げ )
NUT-7752、覚えておけ。そのうち帝国軍随一のエースパイロットとして銀河の歴史に刻まれる名前だ。
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