赤ずきん 2018-06-22 23:40:29 |
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>赤ずきん
( 親指で示された先に視線を移すと、今まで説教に夢中で完全に意識の外であった背中の猟銃にようやく気がつき、しかし子供がそれを持っていたとしても危険に変わりはないのだと再び説教を始めようとしたところで、その台詞は次ぐ彼女の言葉を聞いた直後に呑み込んでしまう。本人の言う通り、赤ずきんの銃の腕前はそこらの猟師にも劣らないと言える。よっぽどの箱入り娘らしい彼女の母親があまりにも世間知らずなので、いつも一人で森の奥まで遣いに行かされるこの子が不憫でならず、万が一に備えてと数年程前に銃の扱い方を教えたのだった。それが彼女の性格をこうも逞しくしてしまった一因であると自覚がある故に、責任も重く感じている。そんな後ろめたさもあり、この度の説教は一先ず取り止めにすることとして。続いて相手が教えてくれた話、“金色の毛の狼”は最近猟師仲間の間でも話題になっている大変珍しい獲物で、その毛皮を欲しがる貴族は数知れないとか。とてつもなく魅力的な情報だがあの胡散臭いキノコ屋の言う事だ、ちょっとばかし信憑性に不安があるが、少しでも可能性があるなら彼女の言う通りあたってみて損は無いだろう。指で軽く顎鬚を撫でつつそんな思考を巡らせて )
金の狼…なるほど、キノコ屋がね。君を無事送り届けたら探してみることにする。…けど、それまでは出て来て欲しくないな。 お婆さんの家はこのまま南で良かったか?急ごう、日が暮れる前に帰って来られるように。
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