xxx 2018-06-03 19:25:29 |
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>20 夏目 央
ふふふ、良い子ね。
(何も言わずに、もしかすると何も言えずに、ただ頷くその姿を見詰める瞳はすう、と細められる。唇には緩やかな笑みを乗せ、一言そう囁いた。先に告げた言葉の通り、彼女を含む"死にたがり"と言う存在達の事は、もっと言えばこの館に住まう"ナニカ"達の事も、大切な我が子の様に愛しているのだ。愛しい我が子と思えばこそ、喜ばせてやりたくなるというもの。目の前に広がる景色に驚くやら感動するやら戸惑うやら、ただ吸い込まれる様にしてこの部屋の魅力に触れようとしている彼女の姿を満足気に眺めつつ彼女の向かいにある椅子へと腰を下ろして)
贈り物の準備も大切だけれど、まずはゆっくりお茶でも飲んでお話しましょう?女同士で水入らず――そう言う時間も、悪くない筈よ。
(宙を漂いながらテーブルの傍へとやって来たティーセット一式はゆっくりとテーブルの上に着地、かと思えばせっせと自ら紅茶を淹れ始める。誰の手も触れていない、館の中ではあちこち見かけるギャルソンの分身の姿さえ見当たらない。そんな中、まるで生き物の様に独りでに動くそれらの姿は正しく彼女が口にした通り"魔法"そのものだった。淹れ立ての紅茶がすーっと彼女の前へ、続いてバスケットの中から飛び出したガトーショコラをよく磨かれた銀のナイフがてきぱきと切り分け、それらが白い皿の上へ行儀良く並んで同じく彼女の前へ。そんな一連の光景をぼんやり眺めつつ、己の前に置かれた紅茶の中に真っ赤な苺ジャムをひと匙溶かし込んで)
魔法って、素敵でしょう。あなたがそんな風に嬉しそうな顔をしてくれるなら、幾らでも見せてあげたくなってしまうわね。
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