緋色の研究　/　〆　

…君から教えてもらった。君は自分の情報を漏らしすぎだぞ、簡単すぎる。前まで君が時折口の端に着けていたのはコーラルオレンジのリップだったが、今ついているのはパウダーが入ったピンクのグロスだ。今日も着いてたぞ。唇についているものが変わったということはキスする相手が変わったということ、つまり彼女が変わったということ。そしえ先日君はまだ新しい靴下を捨てていた。穴が空いてるわけではないし柄は無難なもの、つまり捨てたかったのは靴下と共にある思い出だ、しかも嫌な思い出。君は前の彼女に酷いフラれかたをしたから靴下を捨てたんだ。以上のことから君は前の彼女にフラれたと言える。どうせ次のも続かないから止めておけ
(ジョンがソファの近くに来るのを感じとると一層意固地になるように体を丸める。しかし『何故』と問われるとそれを答えたくなる性分で、早口で自分の推理を並べると、最後に皮肉をそえてふんと鼻を鳴らし)