助手 2018-05-23 21:25:11 |
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…へえ、君も随分大人になったんだな。僕を誘うなんて。
(相手の返答にそう言って笑みを深める。女性との関係も、恋愛というものさえ知らなかった彼が、今はこうして大人びた熱っぽい瞳でこちらを見つめて愛を囁く。大人しく顎を上げて相手と口付けを交わしつつ、不意にドアの外で足音が止まったのに気付いて息を潜めた。)
『あら、ワトソン先生診察室にはいないみたい。カルテも出てるから、あの患者さんももう帰ったのね。来た時からすごく元気そうだったのよ、どうしてもワトソン先生に診てもらいたかったみたい。』
『ワトソン先生人気だから、そういう熱心な患者さんも多いのよ。ほとんどが女性の患者さんだけど、たまに男性の患者さんもいるのよね。──ねえ、今彼女いると思う?』
(受付にいた女性看護師たちの声。診察室の前でカルテを回収しつつ楽しげに立ち話をしているようだった。仕事仲間が扉を隔ててすぐそこにいるのに、彼とキスをしている。このままでは頭が熱で回らなくなりそうだ、それが一層羞恥心を掻き立て、思わず相手の肩を押した。)
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