助手 2018-05-23 21:25:11 |
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…僕が近くにいるとどんどん酷くなる。
怖くないよ、ほら──泣かないで、これあげるから。
(響く鼓動は、明らかにテンポも早く時折不規則になる。その事実を彼に伝えながら、聴診器を耳から首へとかけ直した。これでもう、心音ははっきりとは聞こえない。病院特有の真白で少し硬いベッドに組み敷いた彼は、普段とは全く違う表情を浮かべている。興奮と怯えが入り混じったような表情だ、自分が普段と全く違う表情を見せたことに酷く驚いているのは確かなようだった。それを上から眺めながら、少し虐めすぎてしまっただろうかと考えた。泣き出しそうな目をした彼に微笑むと、くしゃりとその髪を撫でてやる。いつも、診察が怖くて泣き出してしまう子供にするのと全く同じ宥め方で、優しく声をかけ、先程いらないと言われたキャラクターの飴をその手に握らせた。そっとその頰へキスを落とすと身体を起こす。先ほどまでの荒々しくも艶やかな姿から、普段の優しく面倒見の良い医者へと戻ろうと、やや乱れた白衣を整えて息を吐いた。)
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