祀 2018-04-04 07:51:35 |
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「……──貴方は、余命1年です」
私は約1年前、医者にそう言われた。
学校が終わり、放課後のバイトの途中で激しい頭痛と呼吸困難に襲われ、その場に倒れ込んだ。
バイト先の人達の悲鳴に近い叫び声や周りに駆け寄って来てくれる姿をうっすらと聞いて、見て、いつの間にか私は意識を失っていた。
ぼー、と目を覚ました頃には真っ白い天井に真っ白い服を着た人が私を囲んで…
両親は溢れ出る涙を拭うこともせず、私を思い切り抱きしめて「ごめんね」って何度も何度も、謝られた。
何で、謝られているのか。頭にはずっと疑問符。それを見て周りを囲んでいる医者も、看護師も、苦虫を噛んだ様な表情を浮かべていて。
どうしてこんなにもしん、とした空間が広がっているんだろう。私は目を覚ましたのに。
「…落ち着いて聞いて下さい」
…嗚呼、これは、聞かない方がいいやつだ。よく、テレビで見るやつだ。そんな呑気なことを考えてその後に言われる事をうっすらと想像した。
「…──貴方は、余命1年です」
1年。それは高校生である私にとって何とも短い時間だった。やりたい事、実現してみたい事が幾らでもあったのに。
「悪性の腫瘍が脳と肺に転移して──…」
その後の医者の説明なんて入ってくる訳もなく、ただ頭は真っ白。光り輝いていた未来が真っ暗になっていた。
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