赤の女王 2018-03-04 13:31:36 |
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(少し苦い位に濃い紅茶を一口喉へ流せば襲い来る睡魔も少しは姿を薄くして、紅茶は彼女の口に合っただろうか、そんな思いからちらりと視線を向ける。すると告げられたのは怒ることを促す言葉でぱちりと瞬きを、"ゆるゆる"と頭を左右に揺らせば「ひっぱたかれる事をしたんだよ」彼女の反応は正当な物である、間違っていない。先の行動を肯定するのは彼女が言った通り、一人でも身を守れるようにいて欲しいから。風に消えてしまいそうな小さなお礼の言葉はじんわりと溶ける甘い響きとして心に留まり「どういたしまして」と確りとした声量で応えることとなる。彼女の目の前の取り皿へ数種類のミニケーキや色とりどりのマカロンを乗せれば「ぼくも、他の同居人も、料理ができないから買って来たものだけど……紅茶に合うからたくさん食べてねぇ」男所帯、細やかな手料理など出来る筈も無く、テーブルに並ぶのは出来合ものばかり。逆を言えば手料理の温かみは無くとも安心安全の味の保証が有る。自らも少し大きめのマフィンを皿に取るとストロベリージャムを皿の端に落として「ふだん、僕の起きる頃にはみんな作業に出ているから、だれかと一緒に紅茶を飲むのひさしぶりなんだ」一口大にちぎったマフィンを先ずはシンプルにそのまま頂き、言葉は普段どれ程眠るかを示しながら嬉しそうに笑みを浮かべ「だから、一緒にお茶会ができて、とてもうれしい」"きてくれて、ありがとうねぇ"と改めて迎える言葉を送り)
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