赤の女王 2018-03-04 13:31:36 |
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(相手の頭へ伸ばした腕は弾かれることなく、ふわりと柔らかな髪へあてがわれた。そのまま優しく撫でるようにしたり、跳ねている髪を指先で直したりしていると、目元がほんのりと色付いているのに気がついて。それから、まるでドラマで聞くような台詞で忠告を受けると、ぷっ、と吹き出すように笑みをこぼし。「なぁに照れてんのよ。背中におぶわれてる時の方がよっぽど恥ずかしいじゃないの」髪を整え終えると、ぺちぺちとその柔らかな頬を優しく叩き。きっと、あの時はそんなことを考えられないくらい、怪我をして泣いていた自分を城に連れて行くので精一杯だったのだろう。その優しさが微笑ましくて、いつもなら強く馬鹿にしてやることも、つい穏やかな口調になってしまう。「あ、そうそう! すっごく美味しいやつを淹れなさいよね! あと、お茶菓子も上等なのを用意して!」相手の言葉でハッとして、化粧品を納めた帽子をしっかりと両手に抱え直すと、開かれた扉から意気揚々と部屋を出て)
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