赤の女王 2018-03-04 13:31:36 |
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(メイドは、仕事の最中だというのに真剣な表情で問いの答えを考えてくれている。指折り教えてくれる場所はそのどれもが魅力的で、同時に飛び抜けて魅力的なものは無く。そもそも、一人で何かをしようというのが向かないのかもしれない。これなら眠り鼠を迎えに呼んでもらうか、帽子屋の手伝いをした方が良いだろうか。諦め半分でそんなことを考えていると、突然腰へするりと腕が伸びてきた。あちらの世界でクラブに通いつめていた頃には、こんなことは珍しくなかったので、さして動揺することもなく視線を上げて。眠り鼠とはまた違うピンク色の髪。鋭い目は細められ、なんだか胡散臭いけれど嫌いじゃない。「遊園地? そんなお子ちゃまな場所でちゃんとアタシを楽しませられる?」わざとらしい口調で誘われれば、これまで行ってみたくても機会のなかったその場所に甘い響きを感じた。それでも、素直に喜ぶのでは自分らしくない。相手と同じようにニッコリと笑みを浮かべ、腰へ添えられた手に自分のそれを重ねる。「アンタ、メアリアンっていうの? 仕事中なのに邪魔して悪かったわね」長身のピンク髪へ尋ねた後に視線をメイドへ戻すと、空いている方の手を自分の顔の前に立てて謝るようなジェスチャーをして見せ)
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