赤の女王 2018-03-04 13:31:36 |
通報 |
(相手が差し出したケーキを口へ入れ込む瞬間に呟かれた言葉のせいで、思わずフォークを落とすところだった。「ば、ばかね、アンタ! 優しいってのは、アンタみたいなお人好しのことを言うんだから!」ふい、と視線を逸らすと頬杖を突いたまま再びケーキを食べ進める。「……帽子屋さんの、モデル」働くという言葉は自分にとって縁遠いもので、普段ならばげっそりと肩を落としていただろう。けれど、あの帽子屋の役に立てる、それも自分がモデルになれるとなればそんなに魅力的な話はなくて。ついフォークを落としそうになったところではたと気がついた。「そういえば、さっきも三月兎って名前が出てたわね。来る時に芸術家の兎が、って話してたけど、三月兎ってのがソレなの?」度々耳にする三月兎という名前が、ようやく細い糸で繋がったような気がした。こんなに名前を繰り返し口にするのだから、きっと眠り鼠にとって親しい者なのだろう。「掃除や洗濯だって立派な仕事でしょ。それに感謝してる人が居るなら尚更よ。……って、アンタこの広い家を一人で掃除してるわけ!? それこそ手伝ってあげるわよ」やはり自信無さそうに話す様子は、もはや相手らしいとさえ思えるようになった。こうしてお小言を言うのも慣れたもので、もう淡々とした口調で諭すようになってしまった。フォークをゆらゆらと揺らしながら言葉を紡ぐ途中で、はたと気がつき。こんなに広い家をたった一人で掃除しているのだろうか。文句ひとつ言わずに箒を掃いたりする姿が瞼の裏にありありと思い浮かべられるけれど、自分なら途中で投げ出してしまうだろう。そんなことを考えて手伝いを申し出て)
(/はい。主様に無理のないように交流して頂けたらと思います。重ねて、いつもとても嬉しい言葉をありがとうございます……! 主様に楽しい時間を頂いている分、主様にも楽しいと思って頂けるように努めていこうと思っております。こちらこそ、お気遣いありがとうございました。/蹴り可)
トピック検索 |