ほのか 2018-02-25 17:46:31 |
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『ん、んん、ん~』
女は起き上がって、周りを見渡した。
『こ・ここはどこ・・・?』
「おい!アネキ・・・じゃなくてアニキかな?へへ!女が目を覚ましたぜ。」
女に背を向けて立っていたいたオンナが振り向いて叫ぶ。
「おい!今度あたいを男呼ばわりしたら、タマ握りつぶすよ!」
「お~こわ。へへへ。」
「こ・ここはどこですか?」
オンナは答えた。
「病院だよ。地元の医科大学の附属病院さ。」
『病院・・・。』
オンナは続ける。
「あんたがあの薬を持っていたとはねぇ・・・。道理でどこ探してもないはずだわ。」
『薬・・・。』
女の記憶がだんだんハッキリしてきた。
「ね・ねぇ、彼は?彼は今どこにいるの?」
彼。そう、流れ弾でゾンビウィルスに感染した彼だ。
「彼は今、CT”治療室”で放射線治療を受けている最中だ。」
そう答えたのは、オンナをアニキと読んだ男のカレシだった。
カレシは続ける。
「君はあの男に薬を投げただろう?」
女はうなずく。
「だが彼には届かなかった。」
女は肩を落とした。
「だがカノジョ・・・まぁ正確に言うと、元々男性だが、”心と体の性の不一致の治療”として、
韓国で全身美容整形手術を受けたカノジョがあの薬を見つけ、麻酔銃で彼を眠らせて病院へ
連れてきた。」
「で、今は”治療中”ってこと。」オンナをアニキと呼んだ男が言葉を継いだ。
カノジョは言った。
「あんた、あの薬は何か、知ってるかい?」
女は『ゾンビを人に戻す薬』としか分からない。
「あの薬はねぇ・・・HIV、つまりエイズウィルスの詰まったカプセル剤よ」
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