語 2018-01-26 23:18:09 |
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うん。お父さん体が大きいから。
(思いつく話がたくさんある。お母さんの指が綺麗だとか、お父さんは空手をやっていたとか、ひとつの単語で浮かぶ話は尽きない。それでも自制はすべきだし、彼の説明が先だという言葉に口を噤んだ。お父さんが空手の有段者だという話も浮かんだしお母さんの妹さんが面白い話もぽんぽんと出てくるから頭がパンクしそうだ。パンクして彼の話が聞けないのはたぶん失礼だから、数秒間目を閉じて彼の話に耳を傾けた。)
そう!だから冬子もなれないかなって考えてみるんだけどね、
(ゆっくりと流れる彼の言葉は聞いていて心地いい。途切れ途切れの単語からいくつもの話が思い浮かんでくるから。そんなんじゃいけないなんて分かっているけど、こればかりは仕方ない。こんなことを繰り返しているからきっと___。「わ、っ!」がくりと首が彼の方を向き、前のめりだった体が更に前へ向いた。気の抜けた声と共に状況を確認すべく視線を彷徨わせれば、幼くも少しだけ大人びた彼の瞳。とりあえずごめんねと謝ろうとしたのに、それを遮るのは紛れもない彼の声だった。)
あ、……え、と。
(噛み砕いて噛み締めて、飲み込む前にもう一度確かめて。やっと理解した彼の言葉は、困惑したような、飛び上がって喜んでしまいそうな自分の瞳を明るくさせた。苦しくもないのに息が詰まる。やがて笑顔を堪えたような不恰好な笑みを浮かべれば、「…どうしよう、なんて言おう」相手の瞳を見つめながらなんて変な形の独り言を呟いた。「…すごいね、ヒーローみたい」目をきらきらとさせたのはいつぶりだろう。やっぱり外には出るべきだった。運が良かったのだから。)
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