◆“拝啓……”【指名制・手紙式】◆

◆ サンプル（ ４・500字以上 ）◆


はしめて　たれかからてかみおしらつた
とてし　とてし　おとろいた
おれわよみかきかてきなかつたが　かんしゆのおとこか　たくさんのしかんおかけて　おしえてくれた　それてへんしかおそくなつた
やつわへんた　おれおしんらいする　おれにえんひつおくれた　ほんとうわためなのにた
てもおかけてへんしおかけた　はしめてなかいことかけた　こんなにかけたのわはしめてた
しつとしつと　れんしゆうするのて　つきにへんしおするころにわ　しつとうまくかけるようになつているとおしう

おれわけんきた　かせしひかない
よみかきおおしえてくれたやついかい　かんしゆわおれおおそれてほとんとちかよろうとしない
ほかのしゆうしんとけんかになつて　そいつらおころしたのて　もうすつととくほうにいるか　さつきよほうよりわかいてきた
めしし　こしいんにいたころよりわ　またくえる
こんとのろうやのくらしわ　いまのところわるくない

それより　おまえわいつたいたれた
またことしなのか？　なんさいなんた？
なせおれにてかみをたした？　なせおれおきにかける？
おれわひところした　たからろうやにとしこめられているのに
それに　おれは　おまえをしらない
でも　へんしわほしい　つきもてかみおかいてくれ　せつたいた
てかみわはしめてたつた　またおまえからほしい
まつている　すつとまつている



（以下対訳）

初めて誰かから手紙を貰った。
とてもとても驚いた。
俺は読み書きができなかったが、看守の男がたくさんの時間をかけて教えてくれた。それで返事が遅くなった。
奴は変だ。俺を信頼する。俺に鉛筆をくれた。本当は駄目なのにだ。
でもお陰で返事を書けた。初めて長いこと書けた。こんなに書けたのは初めてだ。
もっともっと練習するので、次に返事をすることにはもっとうまく書けるようになっていると思う。

俺は元気だ。風邪もひかない。
読み書きを教えてくれた奴以外、看守は俺を恐れて殆ど近寄ろうとしない。
他の囚人と喧嘩になってそいつらを殺したので、もうずっと独房にいるが、雑居房よりは快適だ。
飯も孤児院にいたころよりはまだ食える。
今度の牢屋の暮らしは今のところ悪くない。

それよりおまえはいったい誰だ。
まだ子どもなのか？　何歳なんだ？
何故俺に手紙を出した？　何故俺を気に掛ける？
俺は人殺しだ。だから牢屋に閉じ込められているのに。
それに、俺はおまえを知らない。
でも返事は欲しい。次も手紙を書いてくれ。絶対だ。
手紙は初めてだった。またおまえから欲しい。
待っている。ずっと待っている。