◆白山羊◆ 2018-01-26 01:03:29 |
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◆6◆
あなたの負担にしかならないと分かっていながら、それでも筆をとった私をあなたはどう思うのかしら。──なんてね。誰も見ないなら、こんな心配は詮無いこと。それでも、どこかの誰かがこれを見て、何かがどうにかなるのを私はきっと、期待しているの。でないとこんなもの書かないわ。それが何かは、私にも判然としないけれど。
この場所が、このシステムが好きだったわ。そして何より、あなたのことも。こんなに寂れて埃が積もっているのが悲しくて、納得できないくらいにはね。再開や、立て直しを望むのが烏滸がましいことなのは分かっているのよ。だって、万が一、あなたや発案の方がこれを見て、この施設やこのアイデアをお譲りしますよと言われても、絶対にやっていけないもの。自分にできないことを他人にさせるのが悪いとは言わないけれど、大変さを知っているのに、それを見ないふりをしてできる人に丸投げ、っていうのはちょっとみっともない。
でも、それでも望むのを止められない。それだけ私にとってあなたとの手紙の交換は素敵で魅力的だったし、今だってそう。
あなたがとても真摯で誠実な人というのを知っていて、自責の念を持っていそうなことを予測すらしておきながら、古傷を抉るような真似をしてごめんなさい。許せとは言わないわ。これは私のための手紙でしかない。あなたを想いやる気持ちを欠いた、独白の残滓。ゴミの仲間ね。
だから私はこれを書き終えたあと、封をして誰もいない郵便局に不法投棄しに行くつもりよ。その行為を、誰かがうっかり投函と取り違えて、うっかりあなたの元に届けてしまったら……なんて、有り得ない妄想は止めておきましょうか。
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