◆“拝啓……”【指名制・手紙式】◆

＞◆白山羊◆様

(／左様でございましたか、騙してしまったなんてとんでもございません。原案を創り出して下さった利用者様、トピックとして此処へ誕生させて下さった主様への感謝の気持ちで一杯です。こちらこそありがとうございました。
正直、なりきりと言う創作物によって構成されるこうした場において、私情を多分に含むこの度の参加希望であった為に受理して頂けるかどうか一抹の不安が過る所ではございましたが…こうして温かなお返事を頂く事ができ、安心と喜びに包まれております。改めまして、文通を題材として誕生したこのトピックに出会う事ができて良かったです。

さて、またも長めのお返事となる事が予想される為恐縮ではございますが…手紙をしたためる前に、亡き祖母と言う存在についてもう少し詳しい情報をお伝えさせて下さい。以下に綴らせて頂く情報を元に、貴方様の思う「亡き祖母」を創って頂けますと幸いです。

『祖母』は知的で温厚、それでいて時折茶目っ気を覗かせる可愛い人でした。趣味は読書とクロスワード、そして孫と遊ぶこと。歌も好きだったのでしょうか、よく私に聴かせてくれました。お気に入りは『リンゴの唄』、何度も何度も歌ってくれるのですっかり私も覚えてしまうほどでした。ミーハーで新しい物好きな一面もあり、テレビショッピングの力に滅法弱く使いもしない物をよく買って父(祖母の息子)に叱られていたのを覚えています。
『タロ』と言う名前の犬をずっと可愛がっていたようで、私の知る『タロ』は三代目だったそうです。焼き芋とたまごボーロ、それからカップラーメンが大好物。私と弟の世話は本当に熱心にしてくれました。特に幼少の私は祖母の家にあるカラオケセットを非常に気に入り、ことごとく祖母を呼びつけては『コンサート』と称して延々と歌を聴かせたり、『インタビュー』などと言って街頭インタビューのシュミレーションをしたり、それこそ一時間でも二時間でも拘束してしまいました。それでも祖母は嫌な顔ひとつせず、リアクションが気に入らないと身勝手に怒る私を宥め賺しながら遊んでくれたのです。私達姉弟は日頃ささいな事でよく喧嘩をしていましたが、基本的には仲良しでした。祖母に近所の公園へ連れて行って貰ったり、庭で縄跳びの腕を競い合ったり、テレビゲームをしたり…両親が共働きであった為祖母の家に預けられる機会も多く、私達をいつも見守ってくれていました。
父については、一人息子であった為何かと甘い顔をしていたように思います。とは言え気の強い祖母は、叱るべき所は遠慮無く叱る為怒りっぽい父とは度々衝突していました。一人っ子故、父のもつやや我侭な部分をよく知る祖母は、上手くそれをコントロールしてくれていたのではないでしょうか。また、仕事人間の父の体のことをいつも心配していました。母については、「うちの息子のお嫁さんがこんなに素敵な人で本当に良かった」と常々口にしていました。料理上手でよく気の利く母を信頼し、我が子のように大切に思っていたのではないでしょうか。晩年の祖母の在宅介護は母が一手に引き受けていたのですが、何分認知症が進行していた為に母に対して冷たく当たってしまう事も多くなりました。それでも時折、しきりに母への感謝を口にする日があったそうです。
私が中学生になる頃までは、夏休みに年に一度の家族旅行に出掛けていました。無論私達孫に振り回される事はわかっていた筈なのですが、祖母は誰よりも旅行を楽しみにしていたそうです。祖母は私の事を『姉さん』と呼び、それこそいつもベタ甘でした。幼少の頃から英語に関心の強かった私の事を国際的な賢い子に育つと褒めてくれ、あれこれ教材を買い与えてくれました。また、優しい子だともよく言われていたと思います。将来は女優でも弁護士でも作家でも歌手でもスポーツ選手でも、何にでもなれると言って私に自信をつけさせてくれました。

長々と申し訳ございません…手紙に反映するかどうかはお任せ致します。祖母と言う人物像のイメージに少しでもお役に立てばと思い、詳細に書かせて頂きました。読み切るだけでもエネルギーの必要な量となってしまい大変恐縮ではございますが、お時間のある時にお目通し頂けますと幸いです。

では、このレスをご確認頂いた旨のお返事を頂いた後、手紙をしたためさせて頂きます。他に希望者様も現れることと思いますので、どうかごゆっくりと貴方様のペースでご確認頂ければと思います。のんびりとお待ち致しておりますので…何かご質問等ございましたら、ご遠慮なく仰って下さいませ。それでは、宜しくお願い申し上げます。)