▼12年前、イタリアスラム街。
ーーーーはっ……!はぁッ………!!!
あのガキどこ行きやがった!!!
そっちはどうだ!?!?探せ!!
(…………見つかったら殺される……!!音を出しちゃダメだ……ダメなのに、手が、手が震えて……ナイフがうまく、持てない!!こわい……こわいよ……!!お兄ちゃん、お兄ちゃん、助けて…!)
ーーーーーカランッ。
そっちだ!!!
あのガキあっちにいやがる!!!
「ッ………!!!!!」
その時。ぼくの身体はふわりと宙を舞った。
撃たれたりしたのかと思った。
でも違ったんだ。
綺麗なスーツのおじさんの背中にいた。
「…………ドン………!?」
「何やってるんです、早くそのガキを!」
「食うもんなくてうちのチンピラ襲ったんだろ?わーってるよ、おーおー。お前度胸あんな坊主。かァわいいなあ。」
「ど、ドン!?」
「……ひっ、……は、はなして……こ、ろすなら、すぐやればいいだろっ、やめろよはなせぇ!」
「んーなクソダサい真似するかってーの。ガキに金まんまと盗まれてキレて子供追い回す大人だァ?なっさけねぇったらありゃーしねぇ。……なーあ?お前ら?」
「「…………」」
「……ま、お前が襲ったチンピラも雑魚の方だけどそのちびっ子加減で隙ついて財布取るなんてすげーとは思うわ」
「ちびじゃない!」
「ちびっこいだろ、いくつだよ、ろくしゃい?」
「八歳だすっとこばか!!!」
「あーっ!おまえすっとこばかって言った!?」
「ドン!子供相手にやめてください!」
「おめーらがいうな!……はぁ。切羽詰まってヤバそーな奴から盗み働くくらいだ、食うモンも行くとこもねえだろおまえ。」
「ない……でも、お兄ちゃんがおまえらみたいなのに連れてかれたんだ。だから探してる」
「なぁるほど。同じ血持ってりゃつよそーだもんな、わかるわかる。無理やり連れてったんだなあ、そりゃあ。」
「……マフィアになっちゃうかな」
「ーーー、………おまえ、ハーフか?」
「日本人のマンマがいる。ここで生きてるって事は親父はイタリア人だろうけど知らない。マンマはあいじん?だったらしいから。……マンマはマフィアに連れてかれたよ。借金負わされて。」
「そうか。名前は?」
「セツナ。かんじはわかんない。名字はイトーだったけどかけない。」
「……刹那……だとしたらかえーそうだな。」
「?」
「おい、セツナ。おれが漢字考えてやる。」
「ほんとか!?」
「おう。兄ちゃんも探してやるよ。だからな。」
おれんちにこい。
しばしおまちを。