紅夜叉 2017-09-27 17:52:47 |
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時々特技って奴を聞かれるけど。俺にも、一応自慢できるんじゃないかな?っていうのはある。でも、それが他人より絶対的に優れているって言ったらそうでもない。多分俺よりそのことができる人はいくらでもいるし。そう考えると、それを自分の特技にするのはとても烏滸がましいなと思う。それを同じ学年の人、同クラスの人に馬鹿にされるのも日常茶飯事。笑われるのは辛くないけど、後ろ指を指されるのは辛い。でも、独りぼっちで家に帰る道中には、そいつに嫌われたくないなんて思って、吐き気がする。愛とか恋なんてものには気持ち悪くなるのに。
そうして今日も俺の『特技を書きましょう』欄は空白だ。
紅夜叉って名前だけど、別にプロレスが好きなわけじゃない。
その男。銀色の髪に血を浴び、戦場を駆る姿はまさしく―夜叉。の方だ。同じ名前はどうしても駄目だと思ったから、穢れの無い美しい『白夜叉』ではなく、これ以上どうしようもなく穢れた、他人を、自分を傷つけることで浴びる血の色、『紅夜叉』にしようと思った。戦場を駆るなんて格好いいことはできない。俺にできるのは、泥だらけになって薄汚れた汚泥のなかで汚く、格好悪く足掻くことだけだ。
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