五ろの図書委員 2017-09-09 17:45:51 |
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(返された言葉に対して、こくりと静かに頷いて。手が唇の方へ連れて行かれると、今やるとは思っていなかったため驚いて目を見張り。まだ人が行き交う町中でされることに対して少し抵抗を覚えるが、同時に昂ぶる高揚感もあって。その昂ぶる感情を抑えるように目をギュッと瞑り。そのせいで相手の姿が見えず、いつ口吸いしてくるか心はオドオドしてしまい。唇が触れるとビクリと体が震えて。己の指に相手の唇が吸い付く感覚を、ひしひしと感じ。前にされた時みたいに、触れられる度赤くなった手が微かに震えてしまって。恥ずかしさに呑まれそうになるのを、己の唇を噛んで我慢して。手から唇の感触が無くなると、閉じたままだった瞳をゆっくり開けて。瞳の先に居た相手からかけられた笑みと、発せられた言葉に胸がきゅんと痛くなって。でもその痛みは、心地よい痛みで。触れられたことにより相手と触れ合いたい欲求が一層増し、物足りなくて咄嗟に相手の右手を引いてしまって。しかし感情が心の容量を超えてしまい、これ以上求める気力は無く。握ったまま相手の肩にへなへなと力無く、熱くなった顔を埋めて。思えばこいつの大胆な言動には動揺させられてばかりだ、と思い返せば少し悔しく思い「次は倍にして返ししてやるからな…」とボソッと呟いて。物足りなさを満たすため、空いている手で左手の薬指を包み込んでは、親指でその指を擦り。すると先程伝えられた言葉は本当なのか、真意を確かめたくなって。埋めた顔を相手の耳の方へ傾けると「…なあ、私の指の痕が無くなるの、そんなに寂しいか? 」と口にして。)
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