五ろの図書委員 2017-09-09 17:45:51 |
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(予想通りの反応に喜んでいたのは束の間の出来事で。不意打ちな口吸いを受けると、瞳が開かれじんわりと頬を熱くさせられ。悪戯な笑顔から呆気に取られた表情へと一転させられ。そして悪戯めいた表情を向けられると、その姿を格好良いと強く思わざるを得なくて。キュン、と胸が高鳴る音が聴こえて。己と全く同じ顔で己を真似た表情をしているはずなのにその表情は自分のものとは全く違って見えて。ときめきにギュッと胸を掴まれて。計算外の行動に思考が追いつかない内に抱き締められ、「わあっ」と声を上げながら相手のされるがままにされて。力の抜けた幸せで溢れる笑みと声を向けられれば、胸の内から瞬く間にたくさん幸福が溢れ返り。「…その『誰かさん』も、好きでいっぱいいっぱいで起き上がれないみたいだ。」こりゃ一本取られてしまったな、と目尻を下げ困った様な笑顔を浮かべてはそう言っては、体温を寄せ合う様に相手の頭に顔を埋めて。何か仕返ししてやろうと、『好き』と言えば何だろうかと思案し始めて。すると、告白をする前にお互いの『好き』な所を言い合いした時のことが過ぎって。そういやあの時は“続きを聞かせろ”なんて言って困らせたな、そう思うと恥ずかしさから笑いが込み上げて来て思わずふふっ、とはにかんだ声を上げて。またこういうことしよう、と言ってまだ一日しか経っていないのに相手へ伝えたい好きな所が次々に浮かんで来て。次第に頭の中が、相手の『好きな所』で埋まって行って。ならばちょうど良い機会だし伝えてやろう、と相手と顔を見合わせると「ははっ、駄目だな。このままだと、『好き』が胸に詰まりすぎてどうにも出来そうにない。…だから、たくさんお返ししてやる。」片手の指を相手の唇に添え、もう片方は頬にある相手の手に重ね合わせて。「君の可愛い表情は本当に扇情的で、私の悪戯心をくすぐらせる。たまに見せる不敵な表情も、最高に格好良くてどの表情も誰にも見せたくないと思ってしまう程だ。私のことを真っ直ぐに捕らえる瞳も、愛しい言葉を紡ぐこの唇も、私を包み込んでくれるこの手も、全部、全部好きだよ。」と付き合っている今だからこそ言える相手への『好き』を次々と言って行き。言葉に合わせて唇をなぞったり、手を握ったりして。相手の顔と手からパッと手指を離すと「…さっきの仕返し。どうだい? 仕返しな所は変わらないけど、『本当の』好きにはなっただろう? 」と相手が前に口にした台詞を真似して、ニヤリと笑ってみせて。)
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