五ろの図書委員 2017-09-09 17:45:51 |
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(自分の気持ちを拙くも言葉にし、それを聞いてくれている時の相手の表情は本当に優しく暖かいもので、自分はそれが大好きだと改めて感じて。彼の事を自然と目で追ってしまう様になるまでは、恋というものに対し深く考えたことが無くて。考えた事が無いというのは、彼以外にこの人と結ばれたいと四六時中願ってしまう様な気持ちを抱く事が無かったからであり、気づいた頃にはその感情を親友とも言える彼に抱いていいのか、苦しくなる程に迷った事を沁々思い出して。昨日までは布団をぴたりと合わせる事も無かったというのに、今はほんの少し手を伸ばせば触れてしまえる距離で。素顔を明かさない彼にとって、一番無防備である睡眠時にこんなに近くで眠る事を許されるのは、特別な事なのだろうと思うとやっぱり嬉しくて。自分の笑顔から幸せや嬉しさを貰っている、その言葉を耳にした途端目の奥がぐっと熱くなり。彼がこうして自分を支えて肯定してくれるから、自分は笑顔で居られるのだと気付き。その肯定の言葉も、お世辞といった類の薄っぺらいものじゃなく、心から言ってくれている事は疑うまでも無くて。おやすみ、と言って額に唇を落とされれば恥ずかしさや照れ臭さよりも、測り知れない幸福感で胸がいっぱいになり。伝えたい事がいっぱい溢れれば、眠る前の挨拶の前に少しだけ伝えさせて貰おうと。「…僕は、あまり器用じゃないのに加えて迷ってしまう癖もあるから、躓いて落ち込む度に笑って支えてくれたお前に本当に感謝してるんだ。…だから、三郎が辛い時には僕がお前を笑わせてみせるよ。」そう言ってまた柔らかく微笑めば、相手の面で隠れていない喉に唇を触れさせて。「おやすみ、三郎。」自分も相手の目を見詰め、特別な一日が終わってしまう少々の寂しさも感じながらゆっくり目を閉じて。___閉じた瞼越しに朝の明るい日差しを感じ、ゆっくりと目を開いて。まだ眠っている相手の姿が開いた瞳に映ると、自然と目は細められ、口許は緩やかに弧を描いていて。布団に寝転んだまま、ゆっくり手を伸ばせば自分とそっくりな髪の毛に触れて。まだ気持ち良さそうに眠っている所を起こすのは申し訳ないので、そっと前髪を優しく撫でたり、指で横髪を耳に掛けたりして。髪に触れながら、今日これから過ごす一日がとても楽しみで仕方なくて。級友という関係から恋人に変わったことによって、こんなにもドキドキしすべてが楽しみになることに、改めて恋の力は凄いなと感じて。)
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