五ろの図書委員 2017-09-09 17:45:51 |
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(目を閉じてしまえば普段ならすぐに寝てしまう自分であるが、今夜は中々眠れなくて。腕を抱える、即ち相手に触れながら就寝しようとしている状況は初めてのことで心臓が煩く鼓動して。少し顔を上げ、気持ち良さそうに寝息を立てる相手の顔を見詰めれば、自分は眠れないと言うより眠りたくないのだと自覚し。今日という日は、ずっと抱えていた想いを伝え、それを相手が受け容れてくれた大切な日で。そんな大切な日が眠ったことにより早く終わってしまうのが、寂しく感じてしまって。今までのどんな時よりもドキドキとして、嬉しくて、思い返すと自然と口元が緩んでしまい。そんな幸せに浸っていると、相手が起きたらしく、ぐっと引かれる様に微かに上半身が動いて。完全に相手は寝ているものだと思っていた為、驚いては目を閉じ、自分でも何故だか分からないが咄嗟に寝た振りをしてしまい。先程は自分だけ食べるのは申し訳ないし二人で食べたいと思った為、彼の作ってくれた夕飯を食べずに居たが、今思うと折角作ってくれたというのに、自分がご飯食べなかったことを知ったら悲しんでしまうのではないか、そういう可能性も思い浮かんで。謝るべきか謝らないべきか、思い悩んでいると身体に腕が回され、直ぐに彼に抱き締められた事が分かって。相手の腕を抱いて眠れるだけで幸せでいっぱいだったというのに、相手から抱き締められると上限の無い幸福感で溢れ、自分はこの大き過ぎる幸せを感じて良いのかと戸惑いすら感じて。その大き過ぎる幸福感を噛み締めていると、この世で一番好きな声が聴こえ。相手の紡ぐ言葉の一つ一つが大切で、一言も聞き逃したくなくて、そっと耳を澄まして。彼の本心の言葉は嬉しくて照れ臭くて、暖かいものばかりで、身体の温度がじわじわと上がっていくのを感じ。とどめを刺す様に耳に唇を落とされれば、ぶわっと顔全体が熱くなるのが分かって。触れたくなる衝動が一気に込み上がると、こくりと息を呑んだ後、相手の喉の中心に唇を触れさせ、小さく音を立てて。「僕の一世一代の告白だったんだ、夢や嘘なもんか。」少しだけ不安だと言ったその言葉に対し、少々むくれた表情と拗ねた様な口調で返すが、すぐに冗談だと言うように破顔させて。「ごめんね、起こしちゃった?…だとしたら申し訳ないんだけど、僕ちょっと嬉しくて。」申し訳なさそうに眉を下げつつも、その表情は幸せそうなもので。続けて口を開き。「僕がお風呂行く時、照れ臭くてちゃんと三郎の顔見なかったの、心残りで…。今日は特別な日だから、最後寝る前にちゃんと三郎と目を合わせて、ありがとう、大好きって伝えたかったんだ。」絡んだ腕の先にある相手の手に触れては、甘味屋の行き帰りの様に指を絡めて繋いで。「僕もね、三郎が隣に居てくれるってだけで何もかも楽しみだよ。片想いの頃もそうだったけど、両想いになった今はその何倍も楽しみで、何をするか考えるだけで幸せを感じられる。だからね、三郎の悪戯もちょっと楽しみなんだ。他の人を巻き込まないで、僕だけを困らせる悪戯なら、寧ろ嬉しいんだろうなって。」目を閉じながら相手の体温や呼吸を感じれば、自然と心が落ち着き穏やかになる様で。彼の愛の籠った言葉に同じ程の愛情を返してやりたくて、言葉一つ一つを大切に述べて。)
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