五ろの図書委員 2017-09-09 17:45:51 |
通報 |
(印を付けている最中に、差し出した指が舌で舐められていることに気付いて。その感覚が心地好く指先がゾワゾワし、唇から離される時またして貰いたいと密かに思って。言われた言葉により、付けた痕が邪魔になったのだろうか、と一度心に不安を持つがそれは要らない物で。後に続けられた言葉を聞くと笑みを深めて、自分からも相手の項に手を遣り付けた痕をなぞって。「そうだな。そう考えると次に印が消えるのはいつだろうと、楽しみになってしまう。今は左手の薬指と項にあるが…ふふっ、これからも増えて行くかもしれないと思うと楽しみで仕方がない。」額を合わせ相手から愛の言葉を受けると、くすりと柔らかく口角を上げて。「ああ、大好きだよ。雷蔵。」と此方からも潜めた声で、大事に伝えて。目をゆっくりと開けると、其処には今までじっと見詰めて来た、恋い焦がれる顔があって。この距離だったら口吸い出来るだろうか、そう思って一度唇を近付けさせようとするが、近付く程恥ずかしさがぐんと増して行き。付き合ってまだ一日も経たないからか、昨日まで遠くから見詰めることしか出来なかった大好きな顔を、間近で見詰めるには大分勇気が必要で。結局己の唇を合わせることが出来ず、「はぁー…」と長く息を吐きながら相手の肩に顔を埋め。いつか直接してやるって言ったじゃないか、この意気地無しめ、と自分を責めて。印を付けるだけでなく、接吻することでも愛を伝えたくて。唇と唇を合わせるだけ、と言うことは分かっているのだがどうしたら喜ぶだろうか、とか余計なことを考えてしまって。これは練習して慣れるしかない、と感じて。「…雷蔵、少しだけ目を閉じていてくれないか。」顔を上げそう伝えると、両手を相手の頬に添えて。「私はな、お前の声も性格も大好きだが、お前の顔もすごく好きなんだ。優しさに溢れていて笑顔がよく似合う、そんなお前の顔に今は触れられると思うと此処は夢かと思ってしまう。夢に出る程お前の顔を見て来たが、実は近くで見るのは慣れていないんだ。…だから、ちょっと練習させて欲しい。」声音を優しくしそう伝えると、片手の人差し指と中指を合わせ。するとその二本指をまるで唇かのようにして、相手の唇に触れさせて。そして目を閉じ、二本の指の上に口付けを落として。少しだけ瞼を上げると、目の前には相手の顔があって。睫毛の長さや肌の滑らかさなど、遠くから観察しただけじゃ分からないことがたくさん見えて。心臓が次第に大きく鼓動して行き。暫くすると唇を離し、次に指も離して。唇に付けていた手で、赤い顔を隠し。「口吸いの練習…なんてな。」と恥ずかしそうに笑いながらそう伝えて。)
トピック検索 |