悲しき鬼 2017-09-03 18:02:37 |
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(暫く時が過ぎた──と言っても、むしろ夜が濃くなったような頃。また先程のようにぱたぱたと慌ただしく廊下を駆ける音の後に、「碧!お待たせ!」と少し息を切らしながら鈴が部屋に戻ってきて。その両腕にはこれでもかというくらい大量に満開の花が抱えられており、「あのね、ごめんなさい。もうすぐ散っちゃうような花だけ摘んで来たから許してね。」という戻ってきたことではなく花を勝手に積んでしまったことへの申し訳なさそうな言葉の後に鈴はゆっくりと相手に近づいて。その表情にもう悲しみも恐怖も何もなく、ただただいつもの明るい少女の顔に戻っており。)
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