悲しき鬼 2017-09-03 18:02:37 |
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(廊下を歩む鬼の影を月が照らし、小さく響いた鈴の音に一瞬足を止めて。その音を頼りに静かに歩みを進めれば一番奥の部屋まで来てしまい此処だと確信を持てばこれまでの彼のものとは違う荒々しさで襖を開けて。月を背負う形で目の前の少女を見下ろすその影は明らかに異形のもの。闇に光る瞳は深く紅い、その紅が一層周りの白を引き立て雪の中に落ちた椿にも似て。しかし相手を見つめるその眼差しに先ほどまでの優しさも微笑みもなく、無機質な表情で冷たく冷え切った眼差しを向ける鬼が居るばかりで。)
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