悲しき鬼 2017-09-03 18:02:37 |
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…だけど、とても寂しそう。
(何でもない、という答えと彼の寂しげに揺れる瞳。どうしても共存のできていないその二つに鈴の心配は深まるばかりで。小さく呟いた言葉は紛れもない鈴の本心だが、どうすれば相手の心を満たせるのかとが問われれば答えが見つかることはなく。「…碧がどうして寂しそうなのかは分からない。でも、…私はここに居るよ。」相手の手にそっと触れて、にこりと微笑む。自分が幼い頃に怖い夢を見て泣きじゃくっていた時、母は決まって手を包んで優しく笑ってくれた。それだけで何となく安心を今でもよく覚えている。だから、せめて今だけは。自分がいる今だけは、彼が寂しくないようにこうしていよう。)
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