悲しき鬼 2017-09-03 18:02:37 |
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…ようやく、大切にしたいと思える美しい花を見つけたのに、自分の手で散らしてしまうことが酷く恐ろしい…
(雨は、彼の心の寂しさや悲しみを体現するかのように静かに振り続け、相手を抱きしめたままそう小さく言って。やはり自分は臆病な鬼だ、彼女を壊してしまうと知りながら手放すことも出来ず、ただ謝る事しかできない、それでいて散らないで欲しいと懇願することしか。少し落ち着いたのか「戻ろう、すぐに湯に入っておいで、風邪をひいてしまうから」と少し微笑むと相手の手を引いて立ち上がり。彼女が大切だからこそ、どうしていいのか決断をすることができずにいて。濡れて水の滴る白銀の髪から覗く真っ青な瞳はどこまでも透き通っていて。)
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