悲しき鬼 2017-09-03 18:02:37 |
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ッ……、
(彼の、言う通りだった。此方を射るような冷たい赤からも、何一つ間違っていない言葉からも背を向けることは出来ずに、鈴はただただ薄紅色の唇を噛み締めることしかできずに声を詰まらせて。自分の腕の中で力なく此方を抱きしめている碧へ一瞬悲しげに歪んだ瞳を向けては、また鬼の方へと視線を上げて。「その通りね、」鬼の言葉を否定することなく受け入れた鈴の表情は、美しいと言うには程遠い。今にも泣きそうで、それでも尚無理矢理頬を引き上げたような笑顔で。)
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