(空気の震えるような殺気、相手の声は耳には入らず自由を奪っていた鎖を力で引き剥がすとその手首から血が滴り、次の瞬間には鬼が彼女にしたのと同じように鬼を地面へと引き倒し覆いかぶさっていて。相手の心を掻き乱す悲しみは搔き消え、しかし彼が鬼を見下ろす瞳はどこまでも紅く。胸の上に翳した白い手、灯る明かりは鬼と同じ澱んだ暗い色、完全に自我を失っているようで容赦なく鬼の生気を奪っていき)