悲しき鬼 2017-09-03 18:02:37 |
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──…やめて、くれ──!
(目の前で心を喰らわれ深い絶望に悲鳴を上げる彼女の身体がぐったりと力を失えば青い瞳はぐらりと揺れてその奥に血のような紅がぶわりと広がって。彼女に何の非が、という言葉は続かず苦しそうな吐息に変わり、見る間に穏やかな青は真っ赤に染まり。鬼の力ばかりが体の中で暴走し、息もできないような痛みに小さく呻きを零したのも束の間、昼間にも関わらず一本の角が生えれば腕を拘束した術で出来た鎖が激しく音を立てて。屋敷を照らしていた青い空には暗雲が立ち込め、花を揺らす風が強く不穏なものへと変われば視線を上げて鬼を見つめる深い紅が憎悪に揺らめいて)
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