悲しき鬼 2017-09-03 18:02:37 |
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嫌。…そんなの、また碧が1人で苦しむだけじゃない。私はそんなの絶対に嫌。
(そんな事言わせない、とまるで彼の言葉を遮るようにすずのような声は静かに落ちた。そんな顔で言われても説得力が無いもの。そう言ってにこりと笑えば、彼の両頬に手を添えてしっかりと彼の青と自分の黒を絡ませた後にそっと彼と自分の額を合わせ。「碧の過去なんてどうでも良いわ。種族が違ったって相手を愛おしいと感じればそれは愛でしょう?私は、過去に何があったとしても碧が好きよ。」──だから、1人で苦しまないで。懇願にも似たこの思いは、人間が鬼に持つものではないかもしれない。だが、畏怖すべき存在の彼のことを鈴はどうしても愛おしいと思ってしまう。それならば仕方ないんだ。ただ好きな人を守りたいと思って何が悪い。すずは彼の頬から手を離しては、少女らしい白く小さな手で自分より背の高い彼をぎゅっと抱きしめて。)
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