悲しき鬼 2017-09-03 18:02:37 |
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(相手の微笑みと鬼の言葉、どうして良いか分からずただ相手を抱きしめる腕に僅かに力を込めただけで。「まさか、隠していた訳ではあるまい?人間を絶望と悲しみの底に突き落とし、村を滅ぼした過去を。お前は真に鬼らしい冷酷かつ残虐な鬼だ、人間などと共存出来る訳もない。」自分を揺るがそうとするかのように紡がれる言葉の数々、鈴をこれ以上此処に留まらせてはならないと意を決すると相手の身体を離してじっと相手を見つめて。その瞳にはどこか全てを諦めてしまったような色が浮かび、悲しそうに微笑んで見せ。)
──鈴、よく聞くんだ。君は此処に居てはいけない、村へ戻るんだ。…鬼に、抗うことがそもそも不可能だった。鬼のくせに、人間に愛されようだなんて。
…もし、もしも私がまた何処かで穏やかに暮らせるようになったらその時は、鈴を迎えに行くから──だから。
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