悲しき鬼 2017-09-03 18:02:37 |
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……碧、
(いつも自分を優しく抱きしめてくれる彼の手が、今は震えている。何かから逃げ惑うように、怯えるように。視界が閉ざされ、鬼の言葉だけがやけに耳に届いては鈴の頭の中に疑問符ばかりを置いていき。碧の力が村を滅ぼせる?どういうこと?今すぐにでも彼に聞きたいが、今はそんなことをしている場合ではない。ぎゅ、と1度彼を強く抱き締めたあとに「私、信じてるよ。私のことは大丈夫だから、心配しないで。」と出来るだけいつも通りの声を装って彼に囁いて。大丈夫、きっと隙を見つければ逃げられるよ、と。きっと優しい彼のことだから、自分を安全に逃がすことばかり考えているのだろう。鈴はもう一度大丈夫、と囁いてはいつものようにへらりと笑って見せて。)
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