悲しき鬼 2017-09-03 18:02:37 |
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──ッ…駄目だ、鈴。何も言うな、見てはいけない。
(相手を部屋に下がらせればひとまず彼女の安全は確保してやれるかもしれないと思ったその矢先。自分の前に立つ彼女の姿を見ればその青い瞳を見開かせ、そのまま彼女が何も見なくて済むように瞳を覆うようにして抱き寄せて。「──ほう?随分躾のなっていない犬を飼い慣らしているようだ。…碧、いつまで我等から逃げ惑う?お前が鬼であることに変わりはない。鬼でありながら血の渇きに争うことの方が辛いだろう…一族に戻れ、お前の力を持ってすれば村一つ滅ぼす程度難は無いはず。そいつの記憶を奪い、村諸共沈めろ。」紅い瞳の彼は、抑揚のない声でそう紡ぎその後ろに控えた2人の女も物言わぬまま此方を見つめて。相手を肩口へと抱き寄せたまま、答えることはできず、ただどうすれば彼女を逃がせるか、必死で考えを巡らせるも鬼が近くにいるせいで身体が共鳴しているかのようで気分は優れず背中を滑る冷や汗に僅かに眉顰め)
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