悲しき鬼 2017-09-03 18:02:37 |
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…鈴、君は部屋に。
(相手の手を握り返したものの、視線は前に向けたままそう小さく言って。嫌な汗が背中を滑り、沈黙が恐ろしい。相手が動くよりも前に聞こえた声、「──またそのように、野蛮なモノを飼い慣らして。良い加減身を弁えたらどうだ…その汚らしい色を、我等に向けるな、碧。」口を開いたのは一番背の高い鬼、昔何度も聞いた声、自分を蔑む紅い瞳、視線。一瞬にして嫌な記憶の波が押し寄せてはぐらりと歪んだ視界、落ち着けと自分に言い聞かせながらも身体は言う事を聞かず無様にもかたかたと手を震わせる。そうだ、彼らは、青い瞳を何よりも嫌っていた。)
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