悲しき鬼 2017-09-03 18:02:37 |
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…おはよう、
(相手が目を覚まし、はじめにその瞳に映ったのは自分の姿。それが嬉しくて、微笑みを零しながらそう答えて。身体を起こせば長い髪がさらりと背中へ流れ、青く透き通った瞳を庭へとやると「今日は雨だ、」とぽつりと呟いて。庭に出られない日、いつも一人で退屈していた。屋敷の中にいるとつい書斎に入り浸りがちで、雨の日はあまり気持ちの良い思い出もない。しかし今日は、どんよりとした気持ちにもならず、しとしとと庭を濡らす雨が気持ちよくさえ感じることができて寝間着のまま縁側の方へと歩いて行き空を見上げて)
──…雨の日は、嫌いだったんだ。
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