悲しき鬼 2017-09-03 18:02:37 |
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……このまま時が止まっちゃえば良いのになぁ。
(少しずつ冷たい藍色に蝕まれつつある悲しげな茜色に目を細めては鈴は小さな声で呟いて。時の流れというものは残酷で、幸せな時間ほど早く流れてしまうということを自分の身で感じては柔らかな風に吹かれて美しい音を奏でる簪にそっと手をやり。「夕方はとても綺麗だけど、ちょっぴり悲しい。」そう呟いた言葉は、彼と暮らすようになってから鈴がひしひしと感じていたもの。この浮世離れした美しい風景は実に素晴らしいが、夕方が来るということはそれすなわち夜もやってくるということ。彼と離れなければいけない時間が迫っているのを感じ、鈴は眉を下げて。)
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