悲しき鬼 2017-09-03 18:02:37 |
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(心の波が揺れる、とはまさにこのこと。いつもならば嵐のように荒れ狂う心の波も、どことなくいつもよりも穏やかで、だがしかし穏やかだからこそその小さな苦しみを心は拾ってしまい鈴は小さな呻き声を漏らして。大きく瞬きをした瞳からはぽろりと涙が零れ、彼の背中に回した手は彼の着物をぎゅっと強く掴んで自身の苦しみや悲しみの波と戦い。ふっ、とその波が平穏を取り戻しては鈴はそのまま力を無くしてしまったかのようにゆらりと彼に寄りかかるように倒れて。「へい、き。大丈夫だよ、」とまだ涙の線が残る顔でへらりと力なく微笑んではもう顔色の良くなった彼の頬をするりと撫でて。)
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