悲しき鬼 2017-09-03 18:02:37 |
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…ありがとう、鈴。
(相手の言葉にほっとしたように微笑むとそう言って相手を抱き締めて。相手の微笑みが僅かに憂いを帯びたもののように感じたのはみなかったことにしてしまおう。そのまま相手の手を引くと村へと戻り、村人達も久しぶりに姿を見せた鈴の姿に驚いたようにお帰りと声を掛け、一見全てが元に戻ったようで)
碧
(鈴が屋敷を出て数日、何をする気も起きず無気力な日々を過ごしていて。悲しみが足りず夜はやはり苦しい、それでもそれを苦しいと思う心さえ忘れてしまったかのようで。自分の1番好む木に結びつけた鈴は風が吹くたびに柔らかな音を奏で、その度に反応しては違うのだと自分に言い聞かせて。彼女の幸せはきっと村に戻ることだと言い聞かせつつもここを去る時の涙が忘れられない。夕方、人の少なくなった時間に様子を見に行くだけなら許されるだろうか、誰にも見つからないように相手の幸せな様子さえ見ることができればそれで諦められる。)
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