悲しき鬼 2017-09-03 18:02:37 |
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──…鈴、
(相手の涙を見るのはこれで何度目だろう、辺りはこんなに明るくて穏やかなのに。楓に腕を引かれた彼女が少しずつ遠ざかって行く、彼女の背中に向けて縋るように伸ばし掛けた白い手、小さく呟くように紡がれた名前。彼女とって村に戻ることが最善だと言っておきながら唐突に訪れた別れにこれほどまでに動揺するのだから情けがない。相手を見つめる何処までも青い瞳に光が射して愁いを帯びた青を煌めかせる。「…さようならだ、」と1人小さく囁きつつ相手の髪を纏めた交換したままの簪が光に当たって輝く様を最後まで瞳に映していて)
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