悲しき鬼 2017-09-03 18:02:37 |
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…ゆっくり休んでね。
(そう告げた言葉は、彼に届いただろうか。まるで気絶するかのように眠りに落ちてしまった彼の髪を優しくひと撫でしたあと、鈴はそろりそろりと忍び足で部屋から出て行き。蝋燭の灯をこっそりと頂戴し、鈴が真っ直ぐに向かった先は昼間入った書斎。少しでも鬼のことを理解せねばとできる限り鬼の本を掻き集めては、朧気な蝋燭の灯の下でそれをただひたすら読み込むことに没頭して。もうすぐ太陽の光が顔を出す、という頃には鈴の意識もうつろうつろとしてきて、せめて蝋燭の灯を消さなきゃ、と息を吹きかけて蝋燭の灯を消した瞬間、その灯が消えたと同時に鈴の意識もぱたりと途絶え、そのままその場に倒れ込むように眠ってしまい。)
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