……っ、…… (辺りはもうすっかり暗くなり、部屋の中にも月明かりが差し込んできた頃。周りからは風の音以外何も聞こえるものはなく、他に聞こえるものといえば己のトクトクと煩く鳴り響く心音のみで。やはり一人の夜というものは怖いもので、風で揺れる襖の音に悲鳴を上げそうになるもののギリギリでそれを堪えて。「……大丈夫かな、」と小さな声で呟いては彼から借りている簪にそっと手を触れて。)