……。 (ふと、屋敷を戻る途中に後ろを振り返れば先程まで眩いほどの橙色をしていた空が藍色に侵食されていくのを見て鈴の心の中に小さな不安の種が芽を出して。昨晩、自分を見下ろしていた赤い椿をさらに地で染め上げたような真紅の瞳を思い出せば思わずぞわりと背中に冷たいものが走り。大丈夫、とまた自分の心の中で呟けば彼の為にも今日は決して部屋の外には出ないようにと心に決めて。)