悲しき鬼 2017-09-03 18:02:37 |
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…私は、鬼の癖に臆病なんだ。
種族だけを見て鬼だと恐れられるのも、一族から出来損ないだと罵られるのも怖くて、だから頼り方を忘れてしまった。
(ようやくその青い瞳が相手の目を真っ直ぐに見つめると相手が降ろしかけた手をそっと取って。相手が話して欲しいと、知りたいと、そう望むのなら少しずつでも話してしまおう。何から話そうかと少し悩んだものの相手と向き合いその手を握ったまま少しして口を開いて。話し始めたもののひと息つくと、やはりこう言った話を誰かにした経験がないため相手はどう思うだろうかと少し心配そうに相手を見つめて)
…昔、まだ一族で暮らしていた時は私も同じように、普段の意識と鬼の意識は共存していた。
だけど、昔から臆病で鬼として人間から悲しみを奪うことが…人間が恐れ泣き叫ぶ様子を見ることが耐えられなくて。ある時から鬼の意識を排除しようとし始めた。
そのうちに今のように、二つの人格のように鬼と私の望む姿が別れてしまったんだ。…本当なら共存すべき一つの人格だったのにお互いがお互いを壊そうとし続けている、そのせいで身体が悲鳴を上げている。
だから夜、人格が入れ替わろうとするその瞬間は、本当に苦しい。身体が引き裂かれそうな程に痛みを感じるんだ、
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