悲しき鬼 2017-09-03 18:02:37 |
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…私の痛みは肉体的な苦痛だ。
だけど私を楽にする為には人間は心を差し出さないといけない…強制的に悲しみと恐怖を与えられ続けた心はいずれ、何も感じなくなってしまう。
私一人が耐えていれば、それで済む。
──…鈴、良い子だから鬼に関わろうなんて考えてはいけないよ…心が枯れて、壊れてしまう。私はそんな事は望まない。
(ふと頰を包む温もり、相手の言葉は酷く優しいものだがまっすぐ過ぎる相手が鬼に接触を試みたりでもしたらと考えると恐ろしい。相手よりも温度の低い白い手が相手の手に重なりそっと自分の頰から離すとその手を握ったまま言い聞かせるようにそう告げて。苦しいだけ、それで済むのなら目の前の相手から心を奪い壊してしまう事よりどれだけ良いか。相手の明るい笑顔が消えて、いずれまた一人になってしまう状況など考えたくもないと相手の手を握る指先に力を込めて。やはり相手に書斎の本を触らせるべきではなかったと後悔しつつも一つ一つの言葉を言い聞かせるように紡いではじっと相手を見つめ)
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