悲しき鬼 2017-09-03 18:02:37 |
通報 |
【設定】
優しい妖と一人の少女の物語──…
村の外れ、色とりどりの花咲き乱れる小道を抜けると一軒の屋敷が佇んでいる。
まるで常春のような、幾ら年月を経ても何も変わることのない異様なほどの美しさを放つその場所は妖の住む屋敷と街の大人たちからは恐れられ、昔から子ども達が絶対に遊びに行ってはならないと言われる禁忌の場所だった。
その屋敷に住むのは、深い湖のような碧い瞳に白銀の髪を持つ1人の美しい青年。
何人もの子が好奇心に駆られてその場所を訪れても、彼は優しく子ども達の遊び相手になる。しかしそこでの事が街に知られることも子ども達が覚えていることも無かった。
何故なら、彼が子ども達からそのひと時の記憶を奪っているから。
その美しい青年の正体は『人の悲しみを操る鬼』
その鬼の一族に標的とされた村は悲しみの底に沈み、やがて滅んで行くという噂が古くから残っている。
誰かの悲しみ、涙が鬼の生きる源となる。
本来なら人間の心を操り悲しませ、涙に暮れさせることで生きて行く鬼だが、優しすぎるが故に彼は一族を離れひっそりと身を隠し、1人で生きていた。
夜になれば封じ込めていた鬼が姿を現すが為に、誰も近づく事がないように昼間の記憶をも消す孤独な鬼。
自身の優しさ故に悲しみを得ることのできない鬼は、やがて消え逝く存在。
或いは、彼の意思とは裏腹に悲しみを求めて暴走するかのどちらかだった。
少しずつ彼の身体は蝕まれて行く。
そんな時、身寄りのない1人の孤独な少女が彼の前に姿を現す──
苦しさを癒す為に、たった1人の大切な存在を壊してしまう事を恐れる鬼と、そんな彼を愛する少女。
そんな2人の物語。
トピック検索 |