主 2017-01-16 01:20:26 |
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>那智
( その場から逃げるようにいなくなる彼。気持ちが完全に冷めていたのなら、仕事をちゃんとするならそれで良いと見送ったのだろう。他の人といることを優先するのも、クラスメイトと過ごすのを止めて貰えないことも。偽物だったら特に意味のなかったことでも、今はずしりとのし掛かる。きっと今連絡をとろうとしても無駄。メッセージだって見てはくれないはず。生徒会がなければほとんど繋がりがないことに今更気付いて、どうしようもなく胸が締めつけられた。このまま終わるのだけは嫌だ。他の人といたところで、穴は埋まらない。知らず知らずのうちにカチャカチャと動いてシャーペンノックしていたようで、目の前のシャーペンの芯はかなりの長さになっていた。慌てて戻し、立ち上がる。クラスメイトに断りを入れ、途中で止まっている書類を片付けて。それから未着手のものを幾つか鞄に放るのは退室の合図。仕事よりも何とかしなければならないことはあるのだから仕方ない。周りもこの恋情に、彼の見え透いた嘘に気付いているのなら隠すことだってない。取り敢えず追い掛けるしかないのだろう。謝罪と共に扉を締めて、教室やら屋上やら、行きそうなところを探し回る。どこにいるのかわからないけれど、それでも見付けない限り終われない。結局辿り着いたのは靴箱のある辺り。放課後だから他にはあまり人もいないし、まだ帰っていないとすれば必ず会えるはず。壁へと背を預けて、はあと溜め息をつく。誰もいないのを良いことに、彼の名前をぽつりと呟き。)那智……
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